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蔡奇常務委員と会談 山口代表ら党訪中団
「与党交流協議会」再開へ
友好条約を確認し対話加速
党創立者の逝去に弔意
【北京22日=光延康治】公明党訪中団の山口那津男代表は22日昼、羽田空港発の全日空機で北京に到着した。山口代表は同日午後、北京市内の釣魚台国賓館で、中国共産党中央政治局常務委員で中央弁公庁主任の蔡奇氏と会談し、岸田文雄首相から託された習近平国家主席宛ての親書を手渡した。党訪中団の西田実仁参院会長、鰐淵洋子国際局次長(衆院議員)、庄子賢一地方議会局次長(同)が同席した。党訪中団の派遣は2019年8月以来、約4年ぶり。
蔡政治局常務委員(右)と会談する山口代表=22日 北京・釣魚台国賓館(撮影・光延康治)
会談で山口代表は、訪中の直前、公明党の創立者である池田大作創価学会名誉会長が逝去されたことについて「名誉会長が生涯を懸けて築き上げた日中の『金の橋』を確実に引き継ぎ、未来の世代につなげなければならない」と述べた。
蔡氏は池田名誉会長の逝去に哀悼の意を表明。中日国交正常化をいち早く呼び掛けられたことなどに言及し、「中日友好にとって長年にわたる真摯な友人として、重要なご貢献をされてきた」と在りし日の姿をしのんだ。
山口代表は「すべての紛争を平和的手段により解決」「覇権を求めない」といった諸原則をうたった日中平和友好条約締結から今年で45周年の節目になることに言及。「両国が条約の諸原則を改めて確認することが極めて重要だ」と指摘した上で、先の日中首脳会談で「戦略的互恵関係」を包括的に推進することが再確認されたことから「『建設的かつ安定的な日中関係』の構築に向け、党として首脳間を含む、あらゆるレベルの対話や交流を後押ししていきたい」と語った。
これに対し蔡氏は「(自民、公明両党と中国共産党による)日中与党交流協議会のプラットフォームを生かしたい」と応じた。
■仙台市にパンダ貸与、前向きに
ジャイアントパンダの貸与を巡り山口代表は、習主席らに宛てた仙台市長の親書を預かってきたとして「仙台市は東日本大震災の被災地であり、パンダを誘致することは被災地復興の励みになる」と述べ、貸与を要請。蔡氏は前向きな考えを示した。
また山口代表は、東京電力福島第1原発から出る処理水を巡り日本産の水産物を中国が輸入規制していることについて、海洋放出後も複数の機関の検査で安全性が確認されているとして「中国側が懸念を持っているのは承知しているが、ぜひ客観的データに目を向けてほしい」と求めた。
さらに山口代表は人的交流の加速を巡って、査証(ビザ)免除措置の再開を提案。蔡氏は「よい条件を話し合っていきたい」と述べた。
■劉建超・中連部長とも
劉中連部長(右)と握手を交わす山口代表=22日 北京市内(撮影・光延康治)
蔡氏との会談後、山口代表らは同日夜、北京市内の中国共産党中央対外連絡部(中連部)を訪問し、劉建超部長と会談=後日詳報。日中の諸課題を巡って率直な意見交換を行った。