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不登校児 親にも支援を
保護者調査「自分を責めた」66%
9割で家計支出が増加
小中学校の不登校児が過去最多を更新する中、その子どもたちを支える“親”を支援していく必要性も高まっている。不登校児の家庭が直面する課題に関して、不登校を経験した子どもを持つ保護者に対し、NPO法人「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」が昨年10~11月に行ったアンケートの結果などをまとめるとともに、同ネットワークの中村みちよ代表理事に話を聞いた。
精神、経済面でのしかかる負担
アンケートでは、「不登校の原因が自分にあるかもと自分を責めた」親が66.7%、「孤独感、孤立感」を抱いた親が53.1%に上った。
必要な支援としては、「学校以外で安心できる居場所・人とつながれる」(80.5%)、「学校の柔軟な対応」(76.9%)、「経済的な支援」(68%)などが挙がった。
また、不登校児の親が「助けになった」と感じた相談先としては、学校や行政の窓口よりも、不登校児の親の相互交流の場である「親の会」やフリースクールを挙げる回答が多かった。
一方、子どもの不登校をきっかけに家計の「支出が増えた」が全体の約9割を占めた。その要因としては複数回答で、68.1%が「食費」、39.8%が「フリースクールなどの会費」のほか、「通院、カウンセリング費」も35.5%に上った。
子どもが不登校になったことから「パートの時間が減った」「休職、転職した」など働き方の変化を余儀なくされ、収入が減少した世帯は全体の3割に上った。
不登校児の親に、精神、経済の両面で大きな負担がのしかかっている実態が浮き彫りとなった。
■一部自治体で独自助成の動き
不登校児の親への支援として、独自に助成を行う自治体もある。
滋賀県草津市では、公明党の地元市議の推進で、市が認定したフリースクールを利用する不登校児の保護者に対し、21年9月から補助金を支給している。利用料の上限を月4万円として、2分の1を補助。生活保護世帯や就学援助の受給者については補助率を上乗せし、最大全額を助成している。
■公明、政府に対応強化訴え
盛山文科相(中央右)への要望に同席する党不登校支援PTの浮島座長(左隣)ら=先月4日 文科省
公明党は、多様な学びの場の提供を進める「教育機会確保法」の成立(2016年)に尽力するなど、不登校支援に全力を挙げてきた。
党不登校支援プロジェクトチーム(PT、座長=浮島智子衆院議員)が、不登校児の親との意見交換などを実施。今年10月には、浮島座長の橋渡しで、登校拒否・不登校を考える全国ネットワークが、盛山正仁文部科学相に直接、支援拡充を要望した。
11月1日の参院予算委員会では、公明党の伊藤孝江参院議員が「相談支援や情報提供、親の会のサポートなど、保護者への支援を充実させていくべきだ」と訴えた。
これまでの取り組みを踏まえ浮島座長は、「親が経済的、精神的に追い込まれると、家庭の雰囲気が悪くなり、子ども自身が責任を感じてしまう。子どもたちが安心して過ごせるよう、親への支援充実は喫緊の課題だ」と強調する。
登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク 中村みちよ代表理事
公的補助や相談の場が必要
不登校の子どもを持つ親の話を聞くと、経済的にも精神的にも追い詰められ、「真っ暗なトンネルに入ったようだ」と語る人もいる。親が安心して相談できる場があり、フリースクールなどでの学習機会に対して公的な補助が受けられれば、そうした不安を軽減できる。自治体による経済的な支援や、親の会などと連携した相談体制の整備を早急に進めるべきだ。
「教育機会確保法」には、不登校児の学校以外での多様な学びを支援するよう明記されているが、こうした理念が十分に周知されていない。
そのため、学校や行政の窓口に相談しても、求めている支援や情報提供が受けられないという状況が生まれている。確保法の理念を、教育現場や行政、保護者などに周知していくことも重要だ。
公明党の議員からは、教育や子どものための政策を本気で前に進めようという熱量を感じる。その姿勢で、不登校児の親への支援を充実させてくれるよう期待している。