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【主張】景気回復に停滞感 賃上げ、給付で個人消費支えよ
内閣府が15日発表した7~9月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、前期比の年率換算で2.1%減となった。3四半期ぶりのマイナス成長であり、コロナ禍後の景気回復に停滞感をもたらした。企業の持続的な賃上げや成長力強化につながる設備投資を後押ししなければならない。
マイナスの大きな要因は個人消費の落ち込みだ。
背景には食料品などを中心に物価高が続いている一方で、賃金の上昇が一向に追い付いていない現状がある。物価動向を反映させた実質賃金は9月まで18カ月連続のマイナスだ。円安の影響で物価高が続き、節約志向や買い控えが進んで、GDPの5割以上を占める個人消費が減っている。
大事なのは、物価高を上回る持続的な賃上げを実現することだ。
15日には政府、労働団体、経済界による「政労使会議」が開かれ、岸田文雄首相が、今年を上回る賃上げへの協力を要請した。
とりわけ、全労働者の7割を占める中小企業が賃上げできる環境を整えられるかどうかが鍵を握る。
この点、政府が中小企業の賃上げに向けて、労務費の適切な価格転嫁に関する指針を年内に策定することは大きな意義がある。地方や中小企業に賃上げの流れを着実に波及させるため、公明党が推進してきた地方版政労使会議の開催も強く働き掛けていきたい。
企業の設備投資がマイナスになっているのも気掛かりだ。賃上げの原資を生み出すためにも、生産性の向上を促す取り組みが欠かせない。
個人消費の回復には、物価高で苦しむ低所得世帯への支援も待ったなしだ。
政府の総合経済対策には中小企業の賃上げ支援に加え、住民税非課税世帯に対する1世帯当たり7万円の給付が盛り込まれている。
総合経済対策の実行に必要な財源の裏付けとなる2023年度補正予算案は、きょう21日から衆院予算委員会での審議が始まる。早期成立を図り、各自治体での年内給付につなげていきたい。