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虐待から子どもを守る
答える人
党児童虐待防止・社会的養護推進プロジェクトチーム座長(参院議員) 山本香苗さん
党児童虐待防止・社会的養護推進プロジェクトチーム座長 山本香苗 参院議員
最も愛情を注がれるはずの親から虐待を受け、時に死に至るまでの悲しい事件が起きています。11月は「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」期間。児童虐待の現状や背景、公明党の取り組みについて、党児童虐待防止・社会的養護推進プロジェクトチーム座長の山本香苗参院議員に聞きました。
Q 現状と背景は
A 相談が21万件超、過去最多 コロナ禍で孤立化が進む
アスカ 現状は。
山本 痛ましい虐待事件が後を絶ちません。全国の児童相談所(児相)が2022年度に対応した虐待相談件数は21万9170件(速報値)と過去最多に。21年度の死亡事例は50人(心中以外)に上り、その約半数は0歳児と、生まれたばかりの赤ちゃんです。
アスカ 虐待の原因は。
山本 核家族化や地域のつながりの希薄化が進む中で孤立し、育児不安を抱えながらもSOSが出せない状況が虐待の背景にある場合が多いといわれています。特にコロナ禍により自宅で過ごす時間が増え、親が抱えたストレスのはけ口が、弱い立場にある子どもに向かうなど状況はさらに深刻になりました。経済的な困窮や予期せぬ妊娠・出産、複雑な家庭環境なども虐待リスクを高めると指摘されますが、子育ての孤立化を防ぐ取り組みが急務です。
虐待相談件数の増加には、相談体制の整備が進んだことや、児童虐待に対する社会の意識が高まり、住民や関係機関からの通告が増えたという側面もありますが、まだまだ気付かれていない虐待があります。「虐待?」と思ったら迷わず児相の全国共通ダイヤル「189(いち・はや・く)」に電話してください。
Q 公明党の取り組みは
A 防止法の制定・改正を主導 応援交付金事業の実施も
アスカ 公明党の動きは。
山本 公明党は2000年の児童虐待防止法の制定をリードするとともに児相や市区町村の体制強化、親による体罰禁止、児相とDV(配偶者などからの暴力)対策を担う関係機関との連携強化など、同法や関連法の改正に一貫して取り組んできました。
アスカ その他には。
山本 虐待は重大な子どもの権利侵害であり心身に深い傷を与え、大人になってもその傷に苦しみ続けることは少なくありません。虐待を起こさせないことこそ重要です。
そのため公明党は、これまで国と地方のネットワークを生かし、「子育て世代包括支援センター」の各市区町村への設置を進め、22年度からは妊婦と0~2歳児のいる全ての子育て家庭を対象に、伴走型相談支援と計10万円分の経済的支援を一体的に行う「出産・子育て応援交付金事業」を全国で実施しています。
来年4月からは改正児童福祉法に基づき、官民協働で、全ての子ども・若者、子育て世帯を包括的に支援する体制をさらに強化します。
Q 被虐待児、どうサポート?
A 施設退所後の自立を応援 継続支援へ年齢制限撤廃
アスカ 虐待を受けた子どもへのサポートは。
山本 虐待など、さまざまな理由により児童養護施設や里親家庭などで暮らす子ども・若者に対して、最も手厚い支援が必要との認識に立って施策を強化してきました。
まず施設退所後の新生活を支えるため、家賃や生活費など必要な資金を無利子で借りられ、5年間の就業継続で返還免除される「自立支援資金の貸付事業」を創設しました。
また、児童福祉法を改正し、施設などを出た後も、安心して気軽に相談・支援が受けられる拠点の設置を都道府県の役割に位置付けるとともに、児童養護施設や里親家庭で暮らす子どもや若者に対して必要に応じて継続支援できるよう、支援を受けられる年齢制限を撤廃しました。
アスカ 今後に向けては。
山本 今年4月、公明党が創設を訴えてきた「こども家庭庁」が発足しました。子どもや若者、子育て家庭の声を聴きながら、“虐待を起こさせない社会”の実現に全力で取り組んでまいります。