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【主張】介護人材の確保 処遇改善と業務負担の軽減を
高齢化の進展により、介護に対するニーズは高まっている。介護需要の増加に備えた対応が急務だ。
公明党の山口那津男代表は介護人材の確保に向け、10月26日の参院代表質問で「さらなる処遇改善により人材流出を食い止めるとともに、担い手の裾野を広げる取り組みも強化する必要がある」と訴えた。
厚生労働省によると、昨年、介護分野の仕事に新たに就いた人は54万人だったのに対し、離職者は61万人に上っている。介護事業者に短期間での離職を防ぐ方策を尋ねた同省の調査では「残業を少なくするなど労働条件の改善」との回答が最も多かった。慢性的な人手不足で介護福祉士などの職員の業務負担は増える一方であり、労働環境の改善が欠かせない。
参考にしたいのは、パートで働く「介護助手」を活用した三重県の取り組みだ。
介護助手の導入は、資格を持つ介護職員に、専門性を生かした業務に専念してもらうのが狙いだ。具体的には、清掃やベッドメイキングなど周辺業務を介護助手が引き受ける。
介護助手を導入した施設では介護職員の離職率が導入前の12.1%から5.1%に改善したという。同県担当者は「介護助手の導入で介護職員に心の余裕が生まれ、介護の質の向上にもつながっている」と話す。こうした工夫を取り入れ人材確保につなげてほしい。
処遇改善に向けては、賃上げが必要なのは言うまでもない。介護職員は高齢者の健康や命を預かるという責任を負う一方、他の職種と比べ賃金が低い。今年の春闘の賃上げ率は平均3.60%だが、介護分野では1.42%にとどまる。他分野への人材流出を防ぐためにも待遇差の是正が必要だ。
来年には介護報酬の改定を迎える。電気代や食品の値段が上がっても、介護報酬は公定価格で決まるため、機動的には変えられない。物価高騰を反映して報酬を引き上げるべきだ。
政府は介護施設の経営の安定化とともに、人材の確保に向けた支援に力を注いでもらいたい。