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石井幹事長の衆院代表質問(要旨)
物価高・経済対策
家計支援や「人への投資」を
コロナ禍を乗り越え、経済状況も改善しつつある一方、食料品など幅広い分野で物価が高騰し、円安圧力も重なる中、特に家計に重い負担感を与え、中小企業では、原材料などのコスト上昇により価格転嫁や賃上げに頭を悩ませている。
先般、わが党は、経済対策の策定に向けた提言を政府に示し、特に物価高により、影響を強く受けている生活者、中小企業に配慮すべきだと主張した。生活者や中小企業などが希望の持てる力強い経済対策を策定し、一刻も早くその恩恵を届け、物価高を乗り越えることが重要だ。政府の総合経済対策の策定に当たっては、公明党の提言を十分取り入れるとともに、併せて来年度通常予算案や来年度税制改正も視野に入れつつ、施策を総動員してもらいたい。
首相は所信表明演説で、「税収の増加分の一部を公正かつ適正に還元し、物価高による国民の負担を緩和する」と述べ、与党幹部に対し、国民への還元策について所得税減税を含む検討を指示した。国民の多くは具体的な還元策を期待している。
公明党は、物価高を克服する持続的賃上げが広く波及するには一定の時間が必要なことから、その間、家計への支援が重要と考え、国民への“3つの還元策”を主張している。①所得税減税、公明党は定額減税が望ましいと考える②低所得世帯への給付金の支給③電気・ガス料金、ガソリン代などの補助の来春までの延長と自治体の実情に応じた物価高騰対策を可能とする重点支援地方交付金の増額――を政府に求めている。これらの具体化へ、政府・与党一体となって、国民が希望の持てる思い切った還元策となるよう取り組んでいきたい。
今年の春闘の賃上げ率は大企業で3.58%と30年ぶりの高い水準となり、消費者物価指数は12カ月連続で3%以上の上昇で高止まりしている。
公定価格で運営されている医療の診療報酬は2年に1度、介護報酬と障害福祉サービス等報酬は原則3年ごとの改定のため、物価・賃金の動向をタイムリーに反映することが難しい仕組みになっている。公的部門において適時適切に物価・賃金の動向を反映することが重要な課題だ。特に、介護分野の賃上げ率は1.42%にとどまり、他分野への人材流出に拍車が掛かっているため、賃金格差を埋める処遇改善の取り組みが不可欠だ。
次期診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬の同時改定で、しっかり対応するとともに、次期改定が適用される新年度を待たずに、経済対策において前倒しで物価高騰・賃金上昇への対応を行うべきだ。
物価上昇が高止まりする中、それに負けない構造的な賃上げを実現するために、「人への投資」の拡大が重要な課題だ。
例えば、非正規雇用で働く人については、働きながら取り組めるリスキリング(学び直し)への支援や、正社員化する企業への支援を拡充することが必要だ。また、デジタル分野については、教育訓練の講座の拡大やオンライン化を図るとともに、身に付けたスキル(技能)を活用できる「実践の場」を開拓することにより、現場の実態を踏まえたデジタル人材の育成が重要だ。
持続可能な物流へ全力で
2024年4月から長時間労働の規制が強化される物流業界では、トラック運転手の人手不足が深刻化し、問題解決は喫緊の課題だ。トラック運転手は全産業に比べて平均年収は低く、賃上げが必要不可欠だ。
また、トラック事業者から「荷主から長時間の荷待ちを強いられる」「多重下請け構造の中で価格転嫁されない」などの声を多く聴いてきた。これまでの商慣行を見直し、トラック運転手の適正な運賃確保や待遇改善のため、法改正を含め早急に対応すべきだ。
さらに、トラック運転手の負担軽減のため、「置き配」や、コンビニ受け取りを選んだ人にポイントを付与するなどの仕組みで、再配達率の削減に向けた取り組みが必要と考える。政府は、トラック事業者やドライバーの立場に立って、運転手不足を解消し、持続可能な物流の確立に全力を尽くしてもらいたい。
GX(グリーントランスフォーメーション)、半導体、蓄電池、EV(電気自動車)の支援など、これからの成長分野への戦略的な投資によって日本の産業競争力を強化し、経済を再び成長軌道に乗せることが将来の雇用・所得の向上につながる。
欧米をはじめとして、CO2(二酸化炭素)排出削減と経済成長をともに実現するGXに向けた大規模な投資競争が激化する中、脱炭素社会の実現に欠かせないEV普及促進についても世界から後れを取っている状況だ。
子育て世帯・若者夫婦世帯などに対して、高い省エネ性能を有する新築住宅の取得を支援する「こどもエコすまい支援事業」は、ニーズが非常に高く、既に予算上限に達し、受付が終了している。住宅価格高騰も踏まえ、引き続き子育て世帯などへの支援を行うべきだ。同時に、集合住宅を含む、既存住宅への窓断熱改修事業を拡充すべきだ。
子育て・教育、社会保障
奨学金の返済負担軽く
公明党は、昨年11月、子どもの幸せを最優先する社会を実現するための具体策を「子育て応援トータルプラン」として取りまとめた。
政府は、今年4月に、こども家庭庁を発足させ、6月に策定した「こども未来戦略方針」の中で、今後3年で実施する新たな施策をまとめた「加速化プラン」を決定した。わが党が子育て応援トータルプランで主張した数々の施策が反映されたことは高く評価する。
加速化プランには、児童手当の大幅拡充や保育士の処遇改善など、喫緊の課題であり、期待の大きい施策が盛り込まれている。対策が急がれるものから可能な限り前倒しを行い、早期に実施すべきだ。必要な財源確保については、まずは歳出改革とムダの削減を徹底して行うことが重要だ。子育て当事者以外の方々も含めたすべての国民の皆さまに対し理解が広がるよう、丁寧な説明を尽くしてもらいたい。
わが党が一貫して主張してきた、障がい児や医療的ケア児、ヤングケアラーなどに対する支援、物価高の影響で苦しむ、ひとり親家庭を含む子どもの貧困対策なども速やかに実行すべきだ。
公明党は、奨学金の拡充とともに返還支援にも取り組んできた。月々の返還額を柔軟に減額できる返還制度の対象拡大を訴え、来年度からは対象となる本人年収の上限を325万円から400万円に引き上げ、さらに子ども2人世帯は500万円まで、子ども3人以上の世帯は600万円まで引き上げることが決まった。
返還者全体の6割、20代では8割が対象になる。来年度からのスタートへ、返還する当事者だけでなく、これから奨学金を検討する高校生や保護者などにも広く情報が届くよう周知すべきだ。
自治体や企業が奨学金の返還を肩代わりする「代理返還」は、若者にとって奨学金返還の負担軽減となるだけでなく、中小企業には人材の確保ができ、自治体には若者の地方定着になると、広がりを見せている。長野県では公明党青年局の推進もあり、代理返還に取り組む中小企業などに対して県が負担額の一部を助成する事業が始まった。
国も事務処理の簡素化はもちろんのこと、全国に取り組みが広がるよう支援をすべきだ。
性犯罪対策
子どもや若者に対する性被害が後を絶たない状況が続いている。性犯罪・性暴力は、被害者の尊厳を踏みにじる重大な人権侵害であり、断じて許されない。今年6月、公明党は政府に対し「性犯罪から子どもや若い世代を守るための緊急提言」を申し入れた。これを受け、政府は、関係省庁による連絡会議を設置し「緊急対策パッケージ」を策定した。
先の通常国会では、刑法が改正され「同意のない性行為は処罰対象になる」ことが規定されるとともに、経済的・社会的地位を悪用した性的行為も処罰の対象となった。これらは公明党が粘り強く要請してきたことであり、高く評価する。
一方、子どもと接する職業に就く人に性犯罪歴がないことを証明する制度「日本版DBS」については、子どもたちを性暴力から守り抜くという出発点に立ち、真に実効性ある制度設計を行い、早期に導入すべきだ。
帯状疱疹ワクチン 定期接種化
公明党女性委員会は本年5月に「すべての女性のためのトータルプラン」を策定し、政府へ申し入れた。例えば、更年期障害へのアプローチとして、健康診断において更年期障害に関する項目を追加することや、フェムテックの活用などを提言している。さらに、企業による更年期障害に対応した休暇制度の導入など、女性が必要な時に休暇を取得できる環境整備も求められる。
また、高齢者の活躍について、公明党は今年6月に「地域共生社会を支える高齢者活躍推進プロジェクトチーム」を設置した。地域のニーズと高齢者のマッチングや、定年退職後の「地域セカンドキャリア」を見据えた取り組みを行う企業への後押し、政府の「高齢社会対策大綱」の見直しなどを行い、高齢者が地域で生き生きと活躍できる環境を整備すべきだ。
認知症施策
認知症施策の推進は“待ったなし”の課題だ。今年6月、公明党が主導した「認知症基本法」が制定された。柱は、認知症になっても安心して暮らし、活躍できる「共生社会」の実現だ。
その観点から、政府は先般、「認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議」を立ち上げた。認知症の人やその家族などさまざまな関係者を交えて、今後の認知症施策のあり方の議論を開始した意義は大きい。この実現会議における議論を踏まえ、認知症施策推進本部において、認知症の人や家族らの思いを的確に反映した「基本計画」を策定し、地域における総合的な取り組みを加速してもらいたい。
また、認知症の新薬が年内にも実用化される見通しだ。薬を必要とする人に確実に届けられるよう、検査・医療提供体制の整備を着実に進めるべきだ。
公明党は地方議会で、帯状疱疹のワクチン接種に対する公費助成を促進してきた。さらに、公明党は同ワクチンの定期接種化をめざしている。定期接種化について国の審議会による議論は停滞している。そのため、公費助成に踏み込めず、国の議論の行方を注視している自治体もある。審議会における議論を加速させ、速やかに結論を得てもらいたい。
外交・安全保障
SDGs達成へ行動加速
先般、SDGs(国連の持続可能な開発目標)を巡るサミットが開催され、首相は、達成に向けて「人間の尊厳」の重要性を強調し、国際社会の中核的理念とすべきことを各国へ呼び掛けた。これは、わが党が貫く、<生命・生活・生存>を最大限に尊重する人間主義、いわゆる中道の理念であるとともに、SDGsの原点を再確認するものとして高く評価できる。
しかし、SDGsの達成状況は、新型コロナウイルスの流行やウクライナ戦争の影響により遅れが生じ、非常に深刻だ。国連によると、評価可能な約140の目標のうち、順調に進んでいるのはわずか15%。特にわが国は、ジェンダー平等や気候変動対策などが課題として指摘されており、今後の真摯な取り組みが必要不可欠だ。政府は年末をめざし、SDGs実施指針改定に向けた議論を進めているが、目標達成への本格的な行動の加速と拡大に資する見直しをするべきだ。
北朝鮮問題
北朝鮮は10月に3回目となる軍事偵察衛星の打ち上げを断行すると予告している。金正恩総書記は、先月、ロシアのプーチン大統領と会談し、軍事協力への懸念が強まる中、さらに「核保有の永続化」を宣言するなど、安全保障環境は厳しくなっている。
日本は、米国、韓国などと緊密に連携を図り、北朝鮮に対し、挑発行為の中止および関連する国連安保理決議の順守を求めるとともに、引き続き、情報の収集・分析機能のさらなる充実が重要だ。
防災・減災など
国土強靱化、予算は必要十分に
近年、災害が激甚化しており、防災・減災、国土強靱化は喫緊の課題だ。今年6月の台風2号では、奈良県・大阪府を流れる大和川で治水対策を講じた結果、浸水被害が大幅に軽減されるなど、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の効果が大きく発揮された。
特に、被災地で活躍しているのが、緊急災害対策派遣隊「TEC―FORCE」だ。被災状況を調査し、自治体の支援ニーズを聴いて技術的なアドバイスを行うなど、被災地に大変に感謝されている。今後、ドローンなどのICT(情報通信技術)の活用や3次元計測が行えるよう、体制や機能を強化する必要がある。
国民の生命と財産を守るため、ハード・ソフト両面で、防災・減災、国土強靱化対策のための予算を、必要かつ十分に確保すべきだ。同時に、通常国会での国土強靱化基本法改正により義務付けられた、中期計画を早期に策定し、5か年加速化対策を上回る事業量を確保すべきだ。
福島復興
ALPS処理水の海洋放出について、政府は、風評払拭に向け、不断に国内外に対する透明性の高い情報発信とともに、さらなる広報の強化に取り組んでもらいたい。
現在、中国などによる日本産水産物の輸入規制に伴い、ホタテ産業をはじめ多くの水産業者が、厳しい経営状況に直面している。公明党はいち早く、生産現場などを視察し、「水産物の価格下落により収入が減少した」など、関係者の皆さまからの切実な声を受け、政府に迅速な支援を実施するよう強く求めた。
引き続き、水産業の皆さまが希望を持って、事業を継続できるよう、合計800億円の基金を活用した機動的な対応や、加工機器などの導入支援を迅速に実施するとともに、新たに建屋などの施設整備に向けた支援を実施すべきだ。併せて、日本産水産物の需要開拓に向けて、官民が連携して消費拡大に取り組むとともに、輸出先国の多角化を強力に進めるべきだ。
今年9月、政府は、福島県大熊町と双葉町の特定帰還居住区域復興再生計画を認定した。帰還困難区域すべての避難指示解除に向けた第一歩となるよう、スピード感を持って除染やインフラ整備などを進めていかなければならない。
公明党は、希望する全員が帰還できるよう全力を尽くし、人間の復興を成し遂げるまで被災者に寄り添っていく。
マイナンバー
デジタル化の基盤となるマイナンバー制度やマイナンバーカードは、本人情報のひも付けの誤りが発生するなど、国民の信頼を揺るがす事態となった。デジタル化の推進には、安全・安心が大前提だ。
政府には、総点検実施と、マイナンバー登録事務の横断的ガイドラインに基づく対応など再発防止対策を徹底し、国民の信頼回復に向けた具体的な対応をきめ細かに行ってもらいたい。11月末までの総点検終了後に、万が一、別の問題が発覚した際に、迅速に対処できる仕組みを整えておくことも必要だ。
政府はデジタル行財政改革を進めているが、大事なことは、国民目線に立った改革だ。国民が安心してマイナンバーカードを活用でき、デジタル化の恩恵や利便性を実感できるよう、関係省庁や全国の関係機関と緊密に連携し、政府を挙げた万全な取り組みを進めてもらいたい。
岸田首相らの答弁(要旨)
【岸田文雄首相】
<物価高>デフレ脱却のための一時的な措置として、国民の可処分所得を直接的に下支えし、物価高による国民の負担を緩和したい。過去2年のコロナ禍での税収増収分の一部を分かりやすく国民に還元できればと考えている。
多くの自治体でこの夏以降、低所得者世帯に1世帯当たり3万円分を目安に支援を開始してきた。この物価高対策のための重点支援地方交付金の枠組みを追加的に拡大する。ガソリン価格の補助を、電気・ガス料金の激変緩和措置と併せて来年春まで継続する。自治体が地域の実情に応じてきめ細かく、生活者や事業者を支援できるよう、重点支援地方交付金を追加する。
<脱炭素>子育て世帯などの省エネ住宅新築や既存住宅における断熱窓への改修などは、いずれも重要であり、経済対策において必要な支援策を盛り込む方向で検討する。
<子育て>ひとり親家庭支援を含む子どもの貧困対策、ヤングケアラー、障がい児、医療的ケア児に関する支援策は、今後の予算編成過程で拡充を図る。奨学金の代理返還については、今後、税制上のメリットなども含め、改めて周知し、全国での利用拡大に努める。「日本版DBS」創設法案については、次期通常国会以降、できるだけ早い時期に提出できるよう努める。
<認知症>本人や家族らの意向を十分に踏まえ、都道府県などに対する認知症施策推進計画の策定支援など総合的に認知症施策を推進する。
<帯状疱疹>高齢化が進むわが国で、対応が必要な疾患と認識している。ワクチンの定期接種化について、厚生労働省の審議会の結果を踏まえ、必要な対応を検討する。
【斉藤鉄夫国土交通相】
<防災・減災>国土強靱化の強化へ必要十分な予算を確保し、ハード・ソフト一体となった取り組みを進めていく。










