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命を守るワクチン
公明党の取り組みを古屋副代表に聞く
ワクチンはウイルスや細菌の感染を防ぎ、万一発病しても軽症にとどめるという、国民の命と健康を守る上で重要な役割を担っています。長年にわたり各種ワクチンの定期接種化を推進してきた公明党の取り組みや今後の課題などについて、古屋範子党国際保健(グローバルヘルス)推進委員長(副代表)に聞きました。
肺炎球菌、ヒブ、水ぼうそう、B型肝炎など定期接種化を数多く実現
――ワクチン施策の充実を訴えてきた背景は。
私が衆院議員に初当選した約20年前は、他の先進国に比べて公的に接種できるワクチンの種類が非常に少ない「ワクチンギャップ」が指摘され、ワクチン後進国とまで言われていました。
国民の命や健康を守り、病気を予防する上でワクチン接種は重要です。公明党は毎年のように、当事者団体の方々と一緒にワクチン施策の充実を厚生労働相に申し入れてきました。その際、自身が感染症に罹患したことがきっかけで、わが子を失った人の無念の声に接することがあります。「ワクチンを受けていれば病気を防ぎ、守れた命もあった……」。当事者の切実な声を受け止め、共に動いてきたのが公明党の一貫した姿勢です。
――予防接種法に基づき無料または低額の定期接種となったワクチンは。
まずは、子ども向けのワクチンの早期承認が必要との観点で、国会質問や政府への要望を重ねてきました。2012年には「不活化ポリオ予防ワクチン」の導入が実現しました。
その後も、子どもの細菌性髄膜炎を防ぐヒブワクチンや小児用・成人用肺炎球菌、水ぼうそう、B型肝炎の各ワクチンが定期接種化。各地では公明党の地方議員が中心となり、ワクチン接種への公費助成をめざした申し入れや署名運動を展開し、実現を強く後押ししました。近年では、20年にロタウイルスによる胃腸炎を防ぐためのワクチンが定期接種の対象となり、子育て世代から喜びの声が数多く寄せられています。
現在は、おたふくかぜや帯状疱疹のワクチンも定期接種化できるよう政府に求めています。
とりわけ、帯状疱疹ワクチンは公明党の地方議員が各地で接種費用の公費助成を推進しており、国と地方が連携して実現を後押ししていきます。
■コロナ禍では確保に尽力
NPO法人などによる武見敬三厚労相(中央)へのワクチン施策に関する要請に同席する古屋氏(左隣)ら=12日 衆院第2議員会館
――コロナ禍でもワクチンは国民の命を守る上で重要な役割を果たしました。
公明党は、海外製ワクチンの調達に向けた財源確保を国会質問などで政府に強く求めました。これにより、海外製薬メーカーとの交渉が円滑に進み必要量が確保できました。また、希望する人が無料で接種できるよう国費による接種実施を政府へ提言。国が全額負担することを盛り込んだ改正予防接種法が成立しました。
円滑で迅速な接種体制の構築に向けては、不足が懸念されていたワクチンの打ち手を確保するため、医師や看護師に加え歯科医師の活用拡大を政府に訴え、特例として認められました。
こうした取り組みが功を奏した一方で、課題も浮き彫りになりました。
――具体的には。
コロナ禍では、国産ワクチンの研究開発力が弱く、多くの面で海外に比べて遅れている現状を痛感しました。次の感染症に備えて、公衆衛生や安全保障の観点からも国産ワクチンの開発体制を構築することが重要で、基礎研究から臨床試験、薬事申請・承認、製造、接種まで一貫して推進していく国の体制が求められます。実現に向けて党を挙げて取り組む決意です。
■途上国支援へ拠出金も
――コロナ禍ではワクチンを巡る国際貢献も問われました。
途上国を含む世界中の国々にワクチンを迅速・公平に分配することが課題となりました。公明党は、高・中所得国の拠出金などでワクチンを共同購入して途上国(低所得国)にも供給する国際枠組み「COVAXファシリティー」に、いち早く着目しました。
政府に対して枠組みへの早期参加を働き掛け続けた結果、必要な拠出金172億円が支出されました。まさに、公明党のワクチン施策への取り組みが深化した出来事だったと思います。
コロナ前と比べ、コロナ禍で日本の国際保健分野への拠出額は飛躍的に増えました。今後も全世界で保健衛生の向上に取り組む国際保健において、日本が主導的な役割を果たすため、日本の貢献を一層強化するよう政府に要望したいと考えています。