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てんかん患者の来日に尽力
教育機関の取り組み視察
熊本で安江政務官ら
「お二人の力がなければ日本への旅行を諦めていた。とても感謝している」。オーストラリアから家族で来日したラヤル・ケルバジさんは4日、参院議員会館で公明党の秋野公造参院議員と一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会の太組一朗理事長に対し、オーストラリアてんかん協会からの感謝状を手渡した。難治性てんかんを患うラヤルさんの娘・カイアちゃん(4)に医療上必要な、大麻由来成分を含む「CBD製品」を日本に持ち込む手続きを巡る両氏の尽力に謝意を示したものだ。
カイアちゃん(左から4人目)の来日実現に尽力した秋野(右から3人目)、太組(右隣)の両氏に感謝状を手渡すケルバジさん家族ら=4日 参院議員会館
CBD製品を日本に持ち込むには、大麻取締法に基づき①大麻草の成熟した茎か種子から抽出・製造されていること②幻覚などを引き起こす大麻草由来の成分・テトラヒドロカンナビノール(THC)が含まれていないこと――の2点を証明する資料を厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部に提出する必要がある。
原材料や製造工程が分かる写真といった関係者以外では入手が難しい資料の提出が求められるなど、煩雑な手続きを知ったケルバジさん夫妻は家族旅行の中止を考え始めていた。さまざまな機関に問い合わせる中、オーストラリアてんかん協会を通して日本てんかん学会につながり、そこからさらに太組理事長と連携できた。
太組理事長から相談を受けた秋野氏は厚労省に対し、カイアちゃんが使うCBD製品について、太組理事長が用意した写真などを提示しながら、オーストラリアでは医薬品として薬事承認されていることなどを関係者と共に説明。厚労省から「法規制の対象外」との確認を取った上で、ケルバジさん家族は必要な手続きを完了することができ、来日が実現した。
太組理事長は「てんかん患者を含めて病気のある人が、法律に基づいてCBD製品を日本に持ち込んだ例は聞いたことがなく、画期的な出来事だ」と指摘。秋野氏は「カイアちゃんのような訪日客も含め、医療上必要な大麻由来製品を国内で適切に使える環境を整えることが重要だ」と力説し、患者の視点に立った大麻取締法の改正に取り組むと語った。
CBD製品
大麻草から抽出される成分・カンナビジオール(CBD)が原料で、抗てんかん作用のあるオイルなどの製品が流通している。