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海を埋め立て国道に歩道
石川・七尾市
「まさか実現できるとは」――。下出敏一さん(84)は笑顔で語る。石川県七尾市中島町の国道249号(県管理)でこのほど、約340メートルにわたり歩道が設置されたからだ。
能登半島を一周する249号は、七尾市にとって重要な幹線道路。1973年に、のと里山海道が開通するまでは金沢市と能登地域を結ぶ主要道路として使われていた。だが、道幅が狭く歩道もないため、沿線の住民は車が家にぶつからないかと日夜心配でならなかった。
道路沿いに60年以上住む敏一さん、姫美子さん(84)夫妻と、細口雄喜男さん(83)、正子さん(79)夫妻もそうだ。家と車道の間には人が一人歩ける側溝の幅しかない。家の窓を開けるとすぐそこに車が走っている。急カーブが連続しており、運転手にとっては見通しが悪く危険だった。
両夫妻は歩道設置を長年夢見ていたが、車道を挟んだ反対側は日本海。拡幅ができない以上、歩道設置も不可能だと思っていた。2013年、公明党の谷内律夫県議が市議選の応援で現地を訪れた時、下出さんらは「歩道がないために車が目の前を通るので怖い」と相談。とはいえ、まさか事態が動くと思っていなかったという。
その後すぐ、谷内県議は県土木部に対し、歩行者の安全確保のために道幅を広げるよう訴えた。県は国の許可を得て翌年から海を埋め立て、道路の幅を約3メートル広げ約11.5メートルとし、その中に約2.5メートル幅の歩道を新設した。
両夫妻は「谷内さんのおかげで安心して暮らせるようになった」と喜んでいた。