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【主張】認知症施策の充実 社会とつながり保てる環境を
自分や家族が認知症になったとしても、地域や社会とつながりを保ちながら、安心して暮らせる環境を構築したい。
政府は9月27日、有識者や認知症の当事者らによる「認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議」の初会合を開いた。今後の認知症施策のあり方を議論し、年内に意見を取りまとめる。
2025年には65歳以上の5人に1人、約700万人が認知症になると推計され、誰しも無関係ではいられない状況だ。超高齢社会のわが国において、認知症施策の充実は喫緊の課題であり、当事者や関係者を交えて議論をスタートさせた意義は大きい。
議論の柱となるのが、認知症になっても安心して暮らし、活躍できる「共生社会」の実現だ。
これは、今年6月に成立した「認知症基本法」の根本理念であり、来年以降の法施行後に策定される基本計画の内容にも直結する。
その際、当事者や家族の意思を尊重したサービスや支援策を推進していく視点が欠かせない。
例えば、東京都町田市のデイサービス施設では、認知症の通所者の意見を聴いた上で、自動車販売店での洗車などの仕事を提供。企業から謝礼も支払われており、当事者が生きがいを感じながら地域と関われる環境を提供している。こうした取り組みは全国的に少なく、各地に広げる方策を検討してもらいたい。
25年に認知症高齢者の4~5人に1人が一人暮らしとなる状況も懸念される。
認知症によって金銭管理能力が低下すると、家賃滞納や近隣トラブルなどが起きやすく、結果的に地域で生活し続けられなくなる実態が指摘されている。
認知症の人を社会全体で支えるには、企業や行政・福祉関係者の連携、情報共有のルールなど横断的な仕組みづくりが求められよう。
公明党は、認知症の人への支援強化を目的に15年に策定した初の国家戦略「新オレンジプラン」や、認知症基本法の制定などをリードしてきた。党を挙げて、さらに取り組んでいく。