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【主張】放課後児童クラブ 空き教室活用など受け皿拡大を
共働き家庭や、ひとり親家庭の小学生を預かる「放課後児童クラブ」の待機児童解消へ、受け皿の拡大を急ぎたい。
こども家庭庁によると今年5月1日時点で、定員超過などの理由で同クラブを利用できなかった待機児童は2年連続で増えて1万6825人に上る。
15年に同クラブの利用対象が小学1~3年から全学年に拡大され、利便性は向上したが、コロナ禍の2020年と21年を除き、待機児童は増え続けている。
同クラブを利用できないと、保護者は離職や働き方の変更を余儀なくされるケースもある。入学時に直面することが多く、「小1の壁」と呼ばれている。
国は現在、来年3月末までの5年間で受け皿を30万人分増やす計画を進めている。今年は前年より約5万人多い過去最多の約144万人を受け入れた。
さらなる受け皿拡大を進めるカギは学校内への新設だ。国は計画で、新設する同クラブの80%を学校内に設置しようとしているが、現状は55%にとどまる。進まない一因は、同クラブを運営する責任の所在が曖昧なため、学校側が施設利用を不安視し、設置者である自治体の福祉部門との協議が進まないからだ。
このため国は今夏、同クラブの実施主体は学校ではなく自治体であることを明確にする通知を出し、学校内での整備促進を求めた。
東京都八王子市では、住民や保護者が学校運営に参加する学校運営協議会に、同クラブの関係者が加わることで連携が強化され、空き教室などの活用が進み、16年度に370人いた待機児童は22年度からゼロになった。相互の信頼を築いた好事例と言えよう。
公明党は昨年11月に発表した「子育て応援トータルプラン」の中で、同クラブの受け皿拡大と指導員の処遇改善を提案し、国の「こども未来戦略方針」に反映された。年内には、こども家庭庁と文部科学省が新たな対策をまとめる予定だ。
希望する家庭が安心して小学生を預けられるよう着実に整備を進めたい。