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【主張】SDGsの危機 目標達成へ日本がリードせよ
「目標達成は危機に瀕している」。国連が発したこの警告を、国際社会は深刻に受け止める必要がある。
2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)に関する首脳級会合が開かれ、各国が政策の推進へ取り組みを強化することを掲げた政治宣言を採択した。
SDGsは貧困・飢餓の撲滅、質の高い教育、ジェンダー平等など17分野で169項目の目標を定める。15年に採択され、今年は、その中間年に当たる。
しかし、各国の取り組みの遅れや後退により、30年までの目標達成は厳しい状況が明らかになっている。
国連によると、評価可能な138の目標のうち「停滞または悪化」が37%に上り、「順調」はわずか15%にとどまる。とりわけ、貧困・飢餓の撲滅、生態系の保全が深刻だという。
コロナ禍やウクライナ危機などによる影響は明らかだ。今回の政治宣言で各国が危機感を共有した意義は重く、国際協調に基づき行動に移さねばならない。
SDGsは「誰一人取り残さない」との理念によって成り立つものであり、各国の体制や価値観の違いを超えた連携こそ肝要だ。
この点、岸田文雄首相が同会合で「人間の尊厳」の視点を国際社会の連帯を支える中核的な理念とするよう訴えたことは、SDGsの原点を再確認する上で重要だ。目標達成へ日本が世界をリードすべきである。
その柱の一つが、政府開発援助(ODA)の強化だ。SDGs推進上の課題である先進国と途上国間の資金格差の解消に貢献するもので、政府にはODA予算の大幅な増額を求めたい。
国際研究組織の調査によると、SDGs達成度ランキングで日本は21位に位置しているものの、低下傾向にある。特にジェンダー平等や気候変動対策などが課題と指摘されており、真摯な取り組みが欠かせない。
岸田首相は、SDGsを推進するための日本の戦略を年末に改訂する方針も示した。公明党は、政府や自治体の取り組みを積極的に推進しており、改訂に向けて議論を後押ししていく。