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物価高対応、賃上げ支援
首相、経済対策の“柱”表明
10月中に策定、補正予算編成へ
与党に検討要請
岸田文雄首相は25日夕、首相官邸で、10月中の取りまとめをめざす新たな経済対策の「柱立て」を発表した。物価高対策や持続的賃上げ、国内投資促進などが柱。首相は記者団に「政府・与党の密接な連携の下、精力的に取りまとめた後、速やかに補正予算の編成に入りたい」と述べた。これに先立ち首相は、自民、公明の与党両党に党内議論を要請した。閣僚には26日の閣議で策定を指示する。
経済対策は①国民生活を守る物価高対策②持続的賃上げ、所得向上と地方の成長③成長力につながる国内投資促進④人口減少を乗り越えるための社会変革⑤国土強靱化など国民の安全・安心――の5本柱。
その目的について、首相は「物価高に苦しむ国民に対し、経済成長の成果である税収増などを適切に還元する」と説明した。
また、設備投資や研究開発投資まで削減対象としてきた「コストカット型の経済」から30年ぶりに転換することが必要だと力説。今後3年間を変革期間として、労働市場改革や持続的賃上げを伴う消費の活発化、デジタルトランスフォーメーション(DX)、スタートアップ(新興企業)育成などに集中的に取り組む意向を示した。
さらに「各種の給付措置に加え、税制、社会保障負担の軽減などを行い、新たな経済ステージに移行する」と述べた。
このほか、27日に賃上げ税制の減税強化、投資促進や特許に対する減税制度創設などについて議論すると表明した。
「柱立て」の発表について首相は、公明党の山口那津男代表に事前に内容を伝え、与党内で経済対策を議論してもらう方針を示した。25日午後には自公両党の政務調査会長と個別に会い、具体策について提言を出すよう求めた。
高木政調会長「党内議論を加速」
首相との面会後、公明党の高木陽介政調会長は、首相官邸で記者団に対し、党として経済対策の策定を見据え、すでに各部会で議論に着手していると力説した。
また、経済対策の柱立てについて「物価高や賃上げ、中小企業(への支援)など、公明党がこれまで議論を進めてきた内容とほぼ一緒だ」と強調した上で「柱立てを踏まえて議論を加速させ、10月半ばをめどに政府への提言を取りまとめなければいけない」との認識を示した。