ニュース
【主張】消費税のインボイス 円滑な導入、定着へ支援万全に
消費税のインボイス(適格請求書)制度が来月1日から始まる。事業者が納める消費税額を正確に把握でき、経理事務の効率化や取引の透明性を高める上で意義は大きい。国に納めるべき消費税が事業者の手元に残る「益税」の解消につながることも重要だ。
納税義務のある課税事業者の登録申請は8月末時点で約95%に達し、対応が着実に進む一方で、年間売上高が1000万円以下の免税事業者からは戸惑いや不安の声もある。政府は円滑な導入、定着に向けて万全を期してほしい。
インボイスは消費税の納付額を算出する際の、売り上げにかかる税額から仕入れにかかる税額を差し引く「仕入れ税額控除」に不可欠だ。だが、免税事業者はインボイスを発行できないため、取引先は免税事業者からの仕入れにかかった税額を控除できず、その分の消費税も代わりに負担することになる。
このため、免税事業者は取引を停止されたり、消費税分の値引きを要求されたりする懸念がある。課税事業者に登録すればインボイスを発行できるが、その場合は当然、売り上げ分の消費税を納めねばならない。
そこで政府は、円滑な導入に向けた激変緩和措置を設けている。制度開始後の3年間は、免税事業者からの仕入れにかかった消費税額の8割を、その後の3年間は5割を控除する。
免税事業者が課税事業者になった場合は、制度開始後の3年間、納付額を売り上げにかかる消費税額の2割に軽減する。さらには、会計ソフトなどの導入を支援する補助金もある。
これらの支援策を丁寧に説明し、広く活用してもらうことが大切だ。また、免税事業者が不当な取引を強いられることがないよう、相談・監視体制の強化も欠かせない。公正取引委員会などは引き続き、しっかり目を光らせてもらいたい。
公明党は政府の新たな経済対策に関する提言に向けて、インボイス制度の定着に必要な支援策も検討中だ。現場の声を基に、きめ細かな支援に徹していく。