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【主張】サービス業の人材難 解消へマッチング支援の強化を
宿泊や飲食などのサービス業で人手不足が深刻化している。
内閣府と財務省が13日に公表した7~9月期の「法人企業景気予測調査」によると、従業員数を「不足気味」と回答した企業の割合は24%と、調査を始めた2004年4~6月期以降、最も高くなった。
とりわけ宿泊や飲食をはじめ、劇場や遊園地といった娯楽業など外出に絡むサービス業で人手不足感が強まっている。背景にはコロナ禍からの経済の回復や訪日客の増加がある。
人材の確保に向けて政府は、サービス業に関心のある求職者と人手不足の企業とを結び付けるマッチング支援を一層拡充するなど、対策を強化することが必要だ。
厚生労働省は全国100カ所以上のハローワークに、人手不足の業種を対象とした専門の相談窓口「人材確保対策コーナー」を設置している。予約制の専門相談員「就職支援ナビゲーター」らが一人一人の状況に応じて、きめ細かな職業紹介を行っており、さらなる利用を積極的に促すべきである。
また、各都道府県の労働局が主導して、地域の業界団体や自治体などと設立した「協議会」では、地域の実情に応じた職場見学会や仕事体験会、就職面接会などを開催している。多くの人を呼び込むため、内容を充実させて広報を強化するとともに、実施回数も増やしたい。
企業側には、より高い賃金設定や、政府の補助も活用した省力化のためのロボット導入などを検討してもらいたい。
一方で、サービス業に限らず、慢性的な人手不足の解消には、各企業における従業員の働きやすさやスキルアップなど就労環境の改善が欠かせない。
この点、厚労省は公明党の主張を受け、来年度予算の概算要求に、各企業の研修制度や人事、就労時間のあり方などについて中小企業診断士や社会保険労務士ら専門家が助言する仕組みの創設を盛り込んだ。ぜひ実現させてもらいたい。