ニュース
リトルベビーハンドブック完成
愛情あふれる待望の1冊
団体代表「感謝しかない」
公明議員が寄り添い、県動かす
神奈川県
低体重で生まれた赤ちゃんの成長を記録できる「リトルベビーハンドブック」。神奈川県は今月から、県内の新生児集中治療室(NICU)のある病院、市町村の母子保健担当課での配布を開始した。同ハンドブックを手に取り、母親たちでつくる団体「かながわリトルベビーサークルpena」の坂上彩代表と、公明党の西村恭仁子県議が満面の笑みを浮かべた。
リトルベビーハンドブックの完成を喜び合う坂上代表(左から4人目)らと西村県議(左隣)
「西村さんがいなかったら何も始まらなかった。感謝しかないです」。坂上さんは、リトルベビーハンドブックが完成した感動を涙ながらにこう表現した。
2018年、坂上さんは長女の芽ちゃんを370グラムの体重で出産。従来の母子手帳では、1キログラムになるまでの成長を記録できない悲しみを経験した。「小さく生まれた子のママたちに同じ思いをさせたくない」。21年7月に「かながわリトルベビーサークル」を設立し、同ハンドブックの作成を県に何度も求めたが、実現には至らなかった。
そんな中、奈良県のリトルベビーサークル関係者から連絡があった。公明党の奈良県議が奈良県のハンドブック作成を推進していたことから「神奈川の県議を紹介できないか頼んでみようか」との話だった。その後、奈良の亀甲義明県議から連絡を受けた西村県議が坂上さんに電話し、公明党のネットワークを通じて二人はつながった。
坂上さんから話を聴いた西村県議の目に涙があふれた。坂上さんと対話を重ね、21年9月の県議会代表質問で思いを代弁。翌月には、黒岩祐治知事と坂上さんたちとの面談の場をセッティングしたことで、実現に向けて大きく動き出した。
作成に向けた県の検討会が立ち上がり、「pena」のメンバーも入って計3回議論。約3000人の当事者家族に対するアンケートを行うなど、時間をかけて多くの人の声を聴き、一つの形になった。
助言やメッセージなど内容充実
完成した神奈川県のリトルベビーハンドブックは、大きさがA6判で全65ページ。多児妊娠した母親のためのアドバイスなどを記したページがあるほか、体重別発育曲線を低出生体重児向けに細かく示しているのが特徴だ。
また、ママ・パパに温かく寄り添って少しでも不安が軽減されるよう、一つ一つの言葉遣いやイラストの位置にまで思いを込めた。さらに、多くの先輩ママ・パパからのメッセージを記載。手に取った人を励ましてくれる。
「ハンドブックを必要としている人に確実に届くよう、penaで写真展や県内の市町村への訪問を通して知ってもらう機会を増やしていきたい」。坂上さんは、ハンドブックが一人でも多くの人の安心と笑顔へつながることを願う。
西村県議は「リトルベビーハンドブックはゴールではなく、お母さんに寄り添う一つのツール。これからさらに理解の輪を広げていく」と意欲を燃やす。