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【主張】ESG投資 世界的な潮流に。企業に周知を
環境問題の解決や社会貢献、労働環境の改善などに積極的に取り組む企業に投資するESG(環境・社会・企業統治)投資が世界的な潮流となっている。わが国経済の持続的な成長にとって重要な動きであり、日本企業がESG投資を呼び込めるよう国が後押しする必要がある。
2018年のESG投資額は世界で約3400兆円に上り、世界の投資額全体の実に35.4%を占める。背景には、短期的な利益を追求する企業よりも、ESGに取り組む企業ほど長期的に安定した利益が見込めるという投資家の判断の転換がある。
日本でも、16年の時点で国内投資額のわずか3.4%だったESG投資が、18年には18.3%と急増している。
しかし、日本企業がESGの取り組みについて十分に情報を開示していると評価する機関投資家は1%にとどまるという調査もあり、まずはESGの重要性を企業に周知する必要がある。
この点、経済産業省が5月31日に、企業価値を向上させてESG投資を呼び込むための「経営ガイド」を公表したことを評価したい。公明党も「成長戦略2019」で、日本をESG金融大国にするという目標を掲げ、そのための環境整備を推進している。
ESGの取り組みとは、慈善事業をすることではない。米国の未来学者、ジョン・ネイスビッツ氏が提唱した「メガトレンド」(世界に変革をもたらす動向)を把握し、世界のありようを変えるような、大胆なビジネスを展開することが特徴の一つである。
例えば、プラスチックごみによる海洋汚染が深刻視され、世界的に「脱プラスチック」に向けて動き出していることも、メガトレンドの一つであると言えよう。欧米諸国や日本の企業も、プラスチックの代替素材開発に乗り出しており、「プラスチックのない世界」が将来的に到来するかもしれないのである。
経産省の「経営ガイド」では「投資家が知りたいのは、企業の過去ではなく、未来における価値である」と指摘している。企業の取り組みが、より良い社会の未来像と合致するのか。その判断の物差しが、ESGであるということを強調しておきたい。