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【主張】自転車違反に青切符 ルール順守の意識高める契機に
警察庁は自転車による交通違反について、反則切符(青切符)を交付できるよう制度変更する方向で検討を進めている。
今月から有識者検討会で議論を開始し、年内に提言を受ける方針だ。道路交通法改正案を来年の通常国会に提出することを視野に入れている。自転車事故は、自動車を含む交通事故全体の4分の1近くを占める。事故の抑止に向け、利用者が交通ルール順守の意識を高める契機にしたい。
現行の取り締まりは、悪質な違反に限り刑事罰の対象となる交通切符(赤切符)を交付し、起訴されると罰金が科され前科が付くが、検挙件数の1~2%しか起訴されていない。
こうした背景から、自動車やバイクと同様に、反則金を払えば刑事罰を科されない青切符の導入を検討し、違反の抑止につなげる狙いがある。
環境に優しい自転車は、健康志向の高まりやコロナ禍で「密」を避ける傾向が強まり、利用が広がっている。複数の拠点で自転車の貸し出し・返却ができるシェアサイクルや、観光地を巡るサイクルツーリズムの人気も高まっている。
一方、利用増に伴って違反も増えている。昨年の検挙件数は2万4549件に上り、10年間で約3.4倍に増加。自転車が関わる死亡・重傷事故のうち、約7割で自転車側に違反があった。事故や違反が後を絶たない現状は見過ごせない。
とはいえ身近な乗り物だけに、制度の検討に当たっては多くの人から納得を得られる内容にすることが重要だ。どの違反にどの程度の反則金を科すのか、対象年齢をどうするのかなど、具体的な中身を慎重に議論する必要がある。
加えて、教育現場などでの交通安全教育の促進や効果的な啓発、周知の方法なども議論すべきだ。
自転車は道交法上の「軽車両」で、危険な運転は事故の「加害者」になりかねない。事故の防止に向け、専用通行帯など自転車が安全で快適に走れる環境整備を急ぐことも忘れてはならない。