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2018年5月19日

(シリーズ 働き方改革)同一労働同一賃金

先進の取り組みを追う

同社が経営する老人ホームで働く正社員(左)と調理を担当するパート社員(ケア21提供)

今国会で審議中の働き方改革関連法案の柱の一つが、「同一労働同一賃金」の導入だ。政府は、「1億総活躍社会」への一歩として、仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲を持って働けるよう、正規・非正規間の不合理な待遇差の解消を訴えている。「シリーズ 働き方改革」の第2回は、同一労働同一賃金に先駆的に取り組む企業を取り上げる。(この企画は随時掲載します)

■(りそな銀行)基本給 職務同じなら共通

従業員約1万5000人を有する銀行大手の「りそな銀行」は、2008年10月に人事制度の改定を行い、正社員とパートナー社員(パート)に共通の「職務等級・人事評価制度」を導入した。同制度は、役職や職務等級が同じであれば、パートナー社員は時給換算で正社員と同じ基本給が得られる仕組みだ。

同社人材サービス部の安達茂弘グループリーダーは「従業員が性別や年齢、職種に関係なく活躍できる職場づくりが、結果として『同一労働同一賃金』につながった」と語る。

きっかけは、03年6月の「りそなショック」と呼ばれた経営危機。経営悪化で正社員の大量退職に歯止めがかからなかった当時の経験を踏まえ、経営再建の一環として思い切った働き方改革に着手した。全ての従業員を共通の基準で評価する同制度の導入が功を奏し、パートナー社員の責任感が増し、仕事への意欲や能力向上につながった。

一方で、正社員には職務上の責任が重くなり、異動や転勤、トラブル対応なども加わる点を評価し、賞与や退職金、福利厚生では差を設けている。

■新たな雇用区分「スマート社員」導入

さらに、15年8月に「スマート社員(限定正社員)」という新たな雇用区分の導入を決め、16年4月から運用を開始した。スマート社員とは、正社員とパートナー社員の中間に位置付けられ、例えば育児や親の介護などに直面した場合に、勤務時間や業務内容を柔軟に選ぶことができる。現在スマート社員は200人程度で、ほとんどが女性。もともと正社員だった人が出産を機にスマート社員になるケースもあれば、スマート社員から正社員に登用されるケースもある。

安達グループリーダーは、「今後も、会社で働いている従業員一人一人、持てる力を最大限に発揮できるような環境整備に努めていきたい」と語っている。

■(ケア21)社員と上司 一緒に人事評価

「人は誰でも成長できる」との信念で、同一労働同一賃金の取り組みを進めるのが、大阪を拠点に全国で訪問介護事業や施設運営を手掛ける株式会社ケア21(大阪市)だ。依田平代表取締役社長は、「これまで、正社員とパート社員の評価を分け隔てなく行ってきた」と強調する。

■独自の「誰伸シート」を活用

同社の正社員は約2800人で、パート社員は、短時間勤務のヘルパーを除くと約1700人いる。同社は、「誰伸び人事制度」という独自の人事制度を2009年に導入している。毎年11月から翌年の10月までを評価対象期間とし、正社員とパート社員共通の「誰伸シート」を使用して人事評価を実施する。

会社が従業員に求める仕事に対する姿勢や実行力など約30項目について、「できている」「できていない」の基準で従業員自身と上司がそれぞれ評価。その上で両者が話し合い、評価点を決定する。この結果が、昇給や賞与に反映される。

正社員は採用初任給、パート社員は募集時給からスタートするため、元々の賃金水準はそれぞれ異なるが、評価点が同じであれば、同じ昇給額となり、賞与も同じ基準で支給される。

こうした取り組みが評価され、16年度、厚生労働省の「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」で最優良賞を受賞。さらに、同制度の導入により、これまで21.8%(13年11月~14年10月)あったパート社員の離職率が17%(15年11月~16年10月)まで低下した。

パート社員として働く針谷ルミ子さんは、「自分が頑張った分だけ評価してもらえるので、やりがいを感じている」と話した。

■メモ

日本では、非正規労働者が雇用全体の約4割を占め、職場を支えている。しかし、時間当たりの賃金水準は正社員の約6割にとどまり、欧州の「約8割」にも及ばない状況にある。

このため、働き方改革関連法案では、正社員と同じ職務内容であれば非正規労働者の待遇も均等とし、職務内容や責任の度合いなどに違いがあれば、企業が待遇について適切に判断するよう定めた。

政府は2016年12月に、同一労働同一賃金に関するガイドライン(指針)案を提示。同関連法案には、この指針の法的根拠を明確にする規定が設けられており、実効性がより高まる。

これらの規定は20年4月から施行される。ただし、中小企業は21年4月からの適用となる。

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