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認知症の人・家族に希望と安心を
公明、政府の新大綱に向け提言
総合的に暮らし支える
当事者の視点 施策に反映
菅官房長官(右から3人目)に提言を申し入れる党認知症対策推進本部=29日 首相官邸
2025年には65歳以上の5人に1人がなるとされる認知症の施策強化へ、公明党認知症対策推進本部(本部長=古屋範子副代表)は29日、首相官邸で菅義偉官房長官に対し、提言「認知症施策トータルビジョン―認知症の人が希望をもって暮らせる社会へ―」を提出した。菅官房長官は各施策の前進へ「取り組んでいく」と応じた。
提言のポイント
〇施策推進へ「基本法」制定めざす
〇本人同士が集うミーティング普及
〇「サポーター」の活躍の場を拡大
〇若年性認知症の人への支援拡充
〇政府の推進体制を強化
認知症施策を巡り公明党は、2017年12月、政府を挙げて総合的に取り組むよう訴える提言を提出し、昨年9月には「認知症施策推進基本法案」の骨子案を発表するなどしてきた。これらが国を動かし、政府は昨年12月、関係閣僚会議を設置。認知症施策の新大綱を今夏までに取りまとめることから、そこに向けた提言として今回、トータルビジョンをまとめた。
この中では、認知症に関する課題が多岐にわたることから「施策推進のための基本法を制定し、認知症になっても希望をもって、安心して暮らせるトータルな体制を構築すべき」と強調。認知症になった本人の視点を重視した施策を推進する観点から、本人同士が集い、体験や希望、必要としていることを主体的に語り合うミーティングの普及を図るとした。
家族らの支援では、介護休業・休暇制度の充実や取得しやすい環境整備を提案。全国で1144万人に上る「認知症サポーター」の活躍の場拡大へ、本人・家族の支援にサポーターをつなぐ仕組みの推進を求めた。
若年性認知症の人の支援強化も掲げ、就労の継続や社会参加のための居場所づくり、社会保障を活用した経済的支援などを総合的、一元的に実施できるようにするコーディネーターの拡充を要請した。
また、高齢者の運動習慣の確立や社会的孤立の防止が認知機能の低下の予防につながる可能性が高いとされていることを踏まえ、体操教室の開催など“通いの場”への参加を促すとし、市町村における体制整備へ必要な対応を検討するよう訴えた。軽度認知障害を早期発見する仕組みの構築検討や、認知機能が低下しても進行を遅らせる取り組みの推進も明記した。
さらに、国を挙げて認知症施策を推進する体制の強化へ、内閣に「推進本部」を設け、政府としての基本計画を策定するとともに、都道府県や市町村での計画策定を推進するよう主張。厚生労働省の「認知症施策推進室」の「課」への格上げも提案した。