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若者に介護職の魅力発信
イメージ向上へPR隊結成
中学、高校で体験授業
埼玉県
急速な高齢化で介護を必要とする人が増える半面、その担い手不足が深刻化している。このため各地の自治体では、介護現場に若者を呼び込もうとイメージアップ戦略に乗り出しており、厚生労働省も処遇改善に向けた施策を進めている。人材確保に力を入れる自治体や、国の動きを紹介する。
「仕事は大変だが、それだけやりがいもある。多くの人に介護の魅力を知ってほしい」――。
5月中旬、埼玉県内の高校の進路指導教諭ら約60人が参加して行われた、さいたま市内での研修会。県内で働く介護職員で結成された「介護の魅力PR隊」で副隊長を務める渡辺美帆さんは、パワーポイントなどを使って仕事の内容や、やりがいを語った。
県は2013年5月、県社会福祉協議会など5団体と共に「介護職員しっかり応援プロジェクトチーム」を発足。PR隊もその一環で、隊員は各施設から選抜され、知事から任命された。「介護職は精神的・肉体的にきつい」といった負のイメージの払拭をめざしている。
PR隊は、こうした講演のほかにも、県内の中学や高校などを訪れ、仕事内容を紹介したり車イス体験などを行う「出張介護授業」を実施している。昨年度は中学、高校で計23回の授業を開催し、1459人の生徒に介護職の魅力を伝えた。終了後の参加者アンケートでは、9割近くが「参考になった」と回答。そのうち7割が「福祉の仕事に興味を持った」と答えており、県の担当者は「PR隊の活動は、着実に介護職を希望する若者の裾野を広げている」と手応えをつかんでいる。
冊子や動画、SNSも活用
介護職の魅力発信に力を注ぐ自治体は他にもある。
相模原市は昨年3月、若者に介護の仕事を広く知ってもらおうとPR冊子「介護のしごと」を作成した。冊子は8ページ建て。中高生向けで、イラストを多用しながら高齢化の現状や介護保険制度の仕組み、介護サービスなどを紹介している。市によると、これまでに約1万6000部配布され、職場体験や授業などで活用されている。
また横浜市では、動画投稿サイト「ユーチューブ」を活用し、介護施設で働く若者を紹介する動画を配信。クラブのホストから転職し、今ではグループホームでホーム長を務める男性や、介護職を志す女子高生、子育てしながら施設で働くシングルマザーなど、個性豊かな人たちが介護の仕事の魅力や、現場で働く様子を伝えている。
千葉県は昨年9月、県内で働く20~30歳代の若手介護職員を「介護の未来案内人」に任命し、SNS(会員制交流サイト)を活用した取り組みを開始。専用のツイッターアカウントを開設し、職場環境の雰囲気や仕事の楽しさを発信している。
25年度に34万人不足
厚労省の推計によると、16年度の介護職員は約190万人だが、高齢化の進展で25年度には約245万人が必要になる。一方で、入職・離職数が現状のままで推移した場合、25年度で約211万人しか職員を確保できず、約34万人分が不足するという。人材確保は喫緊の課題だ。
こうした背景から、厚労省は19年度、介護人材の処遇改善を進める。今年10月から、経験や技能のある勤続10年以上の介護福祉士について賃金を月額8万円上げるか、役職者を除く全産業平均水準の年収(440万円)並みに改善できるよう支援する。この処遇改善策の予算は、介護支援専門員(ケアマネジャー)らにも充てることができる。
公明 職員の処遇改善を推進
公明党は、一貫して介護人材の処遇改善を推進してきた。15年度から、賃金体系の整備や職場環境の改善に取り組むなど一定の要件を満たした事業所に、職員1人当たり月平均1万2000円相当の賃金アップを実施。17年度からは、経験などに応じて昇給する仕組みを設けた事業所を対象に、同1万円相当の賃上げも実現させた。
また、参院選の重点政策にも「介護人材確保策の拡充」を掲げ、一層の取り組みを進める方針だ。











