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【主張】子どもの夏風邪流行 感染症対策の基本を怠らずに
全国各地で子どもの夏風邪である「ヘルパンギーナ」や「RSウイルス」などが流行している。新型コロナの5類移行に伴って子どもの活動も活発化しているが、感染症への警戒は怠らないようにしたい。
子どもは日常の活動の中で、さまざまな感染症にかかり、徐々に免疫を獲得していく。だが、コロナ禍の3年間で子どもがウイルスにさらされる機会が減り、免疫力が低下したことが急拡大の原因ではないかと指摘されている。
夏風邪で特に注意したいのはヘルパンギーナだ。38度以上の発熱と口内にできる水疱が特徴で、ウイルスが脳や髄膜に侵入するなどして重症化した場合は、入院が必要になる。大人も重症化リスクがあるという。
東京都が先週発表した定点当たりの1週間(6月19~25日)の患者報告数は7.75と、流行警報レベルの6を大きく超えた。さらに大阪府や鹿児島県など各地で流行警報が出ている。
ヘルパンギーナに有効な特効薬はなく、解熱鎮痛薬の服用など対症療法で治るのを待つしかない。水分補給も大切だが、喉の痛みから水を飲むことを嫌がる子どもが多い。スプーンやストローを使って少量ずつ飲ませるなど、工夫して脱水症状を防ぎたい。
「RSウイルス」は、せきの症状が出る感染症で全国的に増加傾向にある。例年は冬が流行の中心だったが、近年は時期が早まり、今年は5月から増え始めた地域もある。新生児や基礎疾患のある子どもは特に重症化しやすいウイルスのため、注意が必要だ。
子どもの夏風邪について東京都の感染症対策会議の専門家は「手洗い、うがい、マスクの着用など基本的な感染対策は引き続き重要だ」と呼び掛けている。
ヘルパンギーナもRSウイルスも飛沫や接触で感染するが、小さな子どもがマスクをすることは実際には難しい。子どもが触れる物の除菌をこまめに行うとともに、病院や人が密集する場所では周りの大人がマスクを着用するなど、感染防止に努めていきたい。