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2023年7月3日

【主張】公海の生態系保全 初の条約を採択した意義は大きい

海域は▽海に面している沿岸国の主権が及ぶ領海▽沿岸国の海岸線から200海里(約370キロメートル)までの海域で、漁業をはじめ、石油や鉱物などの海底資源の採掘などを他国からの干渉を排して行える排他的経済水域(EEZ)▽EEZを越えた先にある公海――の三つに大別される。

公海では、国際法上、行動の自由が原則として認められ、どの国も漁業や科学的調査、海底パイプラインの敷設などに加え、人工島を建設することもできる。一方、海の全面積の6割以上を占める公海は、多様な海洋生物のすみかでもあり、その生態系を守るための国際協力が不可欠だ。

この点、先月19日、国連に加盟する193カ国が参加した会合が米ニューヨークの国連本部で開かれ、公海の環境保護と生物多様性の保全を目的とする初めての条約を、参加国の総意による無投票で採択したことは重要である。国連のグテレス事務総長は「歴史的な成果」と高く評価した。

条約は、公海で各国の活動を制限する「保護区域」の設定や、環境に重大な影響を及ぼす開発などを行う際に「環境影響評価」の実施を求めている。このような条約が採択された背景に、絶滅の危機に瀕している魚などの海洋生物が急増している現状がある。

その主な原因の一つが過剰漁獲だ。漁業は魚などが激減しないよう、漁獲量を調整して行われるが、国連食糧農業機関(FAO)が昨年6月にまとめた報告書によると、2019年の時点で過剰に漁獲され、枯渇が懸念される魚種は35.4%に上るという。特に、規制を受けない公海で過剰漁獲が横行している。米海洋大気庁(NOAA)によると、絶滅が危惧される海洋生物は2270種に及ぶ。この中には、日本人になじみの深いクロマグロなどの魚も含まれている。

条約の発効には60カ国以上の批准が必要だ。領海とEEZに海洋生物を保護する区域を設けている日本も条約を批准し、公海の生態系を守る国際的な取り組みをリードしていきたい。

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