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【主張】介護休暇 時間単位の取得進めるべき
政府の規制改革推進会議は、認知症など要介護状態の家族がいる労働者に取得が認められている介護休暇を、時間単位で使えるようにすべきとの意見書をまとめた。
家族を介護するため年間約10万人もの労働者が「介護離職」を余儀なくされる中、仕事と介護の両立を支援する取り組みとして重要だ。具体化に向け検討を急いでほしい。
介護休暇は年5日間の取得が可能で、2人以上を介護している場合は年10日間の取得が認められている。ただ、1日か半日単位の利用が原則で、使い勝手の悪さが指摘されていた。
例えば、デイサービスの送迎車を待ってから出勤するのに半日もかからない。ケアマネジャーが利用者宅でケアプランの実施状況を確認する「モニタリング」も短時間で済む。また、要介護者の体調の急変や徘徊などがあっても、早朝や夕刻であれば、半日も休まずに対応できる場合がある。
従って、介護休暇を時間単位で取得できるようにすることは、介護する側のニーズに応えた取り組みと言えよう。
まして2025年の日本は、高齢者の5人に1人が認知症になるといわれている。
しかし、年々増加している夫婦共働き世帯では、家族が介護に取り組める時間的余裕が少ない。また、高齢の親と未婚の子どもだけで暮らす世帯では、親子共に精神的に追い詰められるケースが増えている。
認知症の人を支える家族をサポートする体制を強化することは喫緊の課題であり、この点からも介護休暇を使いやすくする意義は大きい。
現在、企業に勤めながら家族を介護している人は約300万人に上る。介護休暇を時間単位で取得することを可能にすれば、企業にとって貴重な人材の喪失を防ぐことができる。
ただ、経営に与える影響についても目を向ける必要があろう。既に時間単位での取得が認められている公務員のケースも参考にしつつ、スムーズな導入を心掛けてほしい。
総務省によると、介護休暇制度の認識率は家族を介護している人の4割程度にすぎない。制度の周知徹底についても改めて努める必要がある