公明党公明党

公明党トップ / ニュース / p29896

ニュース

2019年5月20日

【主張】刑事司法の大転換 取り調べの可視化を積極的に

6月からいよいよ取り調べの全過程を録音録画する可視化がスタートする。

警察、検察が不当な取り調べによって容疑者を虚偽の自白に追い込む――こうした冤罪の構図を打ち壊すために欠かせない制度が可視化だ。

これまでの自白偏重から脱却し、容疑者と被告人の人権を第一にする刑事司法への大転換となる。可視化という制度に魂を入れ、新時代を開く責任は警察と検察にある。捜査手法の改善などさらなる努力を求めたい。

可視化されるのは裁判員裁判の対象となる事件であり、殺人などの社会的に重大な犯罪だ。逮捕後の容疑者が捜査員から取り調べを受ける姿が最初から最後までビデオに収められる。裁判で被告人が自白を覆した場合、ビデオを見れば自白が強要されたかどうかは一目瞭然となる。

これまでは公判で自白の任意性が争われた場合、取り調べをした捜査員らが証人として呼ばれるが、自白を強要するようなことを「言った」「言わない」の水掛け論に終始することが多かった。

警察と検察はこれまで約10年間にわたって取り調べの可視化を試行してきた。当初は「容疑者との信頼関係を築けなくなる」などと反対の声もあったが、努力を積み重ね、想定される実務上の課題も乗り越えてきた。

しかし、専門家によると、乱暴な言葉遣いや心理的に追い込む露骨な手法は可視化で防止できても、長時間の取り調べで容疑者が精神的に疲労し、警察の筋書き通りに答えてしまう恐れがあるという。こうした普通では考えられないことが起こるのが取り調べの現場だ。この場合、ビデオだけで自白の任意性が証明できるかどうか難しい。慎重に見極める必要がある。

また、逮捕前に任意で行われる取り調べは可視化の対象外であるため、ここで自白を強要される可能性もある。これに関し政府は、自白の任意性が裁判で争いになる可能性があれば、法律上の義務ではなくても、任意捜査段階で録音録画をすることになると国会で答弁をした。

こうした可視化の積極的運用をめざす政府の姿勢は評価できる。あるべき刑事司法の構築へ努力してほしい。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

定期購読はこちらから

ソーシャルメディア