ニュース
少子化対策に全力
「こども未来戦略方針案」ポイント
公明の提言、政府方針に反映へ
異次元の少子化対策実現に向けて政府が策定中の「こども未来戦略方針案」には、公明党が昨年11月に発表した「子育て応援トータルプラン」など、これまで党として提言してきた内容が随所に盛り込まれています。主なポイントを紹介します。
施策の充実に向け、党子育て応援トータルプラン推進委員会として岸田文雄首相(中央右)に提言=5月29日 首相官邸
■「加速化プラン」に道筋/財源は3兆円半ば、年末に結論
方針案は、2030年までを少子化対策の“ラストチャンス”として、24年度からの3年間で集中的に取り組む「加速化プラン」の具体策や財源の考え方を示したものです。政府は、今月策定の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に反映させ、具体化を図ります。
プランの予算規模は約3兆円ですが、24年度予算編成過程で高等教育、貧困、児童虐待防止などへの支援策を拡充させて、3兆円半ばとする考えです。
財源の確保では、28年度までに徹底した歳出改革を実施して、消費税などの増税は行わないとしており、詳細は23年末に結論を出します。また、30年代初頭までに、こども家庭庁予算の倍増をめざす方針です。
■(児童手当)所得制限なく高卒まで/第3子以降、月3万円に増額
児童手当は公明党が創設を主導した“生みの親”であり、拡充を推進してきた“育ての親”です。方針案には公明党の主張で児童手当のさらなる拡充が盛り込まれました。具体的には「児童手当は次代を担う全てのこどもの育ちを支える基礎的な経済支援」と位置付け、所得制限を撤廃し、高校生の年代まで支給を延長します。第3子以降は月3万円に支給額を増額。2024年度中の実施を検討します。
児童手当を巡っては、公明党が1968年に他党に先駆けて独自の児童手当法案を国会に提出。署名活動などを各地で展開し、72年に制度として創設されました。99年の自公連立政権発足以降は、公明党が中心となり、対象拡大や所得制限の緩和、支給額の増額などに尽力してきました。
■(妊娠・出産)伴走・経済支援、恒久化も/産前・産後ケアの体制を強化
公明党の強い主張を受けて2022年度第2次補正予算で創設された、妊娠期から出産・育児まで一貫して寄り添う相談支援と、計10万円相当の経済的支援を一体的に行う「出産・子育て応援交付金事業」について、制度化(恒久化)を検討することを含め、着実な実施が掲げられました。
出産費用(正常分娩)については、保険適用を含む支援のあり方を検討します。子育て家庭の産前・産後の心身の負担軽減を図るケア事業の実施体制強化や、乳幼児健診の推進も盛り込まれました。
国立成育医療研究センターに「女性の健康」に関するナショナルセンター機能を持たせ、妊娠前の女性やカップルに対する健康管理「プレコンセプションケア」を含む成育医療の提供に関する研究や、相談支援なども進めます。
■(奨学金)給付型を中間層に拡大/減額返還の年収要件緩和
高等教育費の負担軽減に向け、奨学金制度の充実に取り組むとしています。特に、公明党が強く推進してきた返還不要の給付型奨学金と、授業料・入学金減免による高等教育無償化を拡充。2024年度から多子世帯や理工農系の学生の中間層(世帯年収約600万円)に対象を拡大します。加えて多子世帯に関しては、さらなる拡大や支援割合の引き上げを検討します。
貸与型奨学金については、返還の負担により結婚・出産・子育てをためらわないよう、減額返還制度の対象となる年収上限を325万円から400万円に拡大。同時に子育て期の負担に配慮し、子ども2人世帯は500万円、子ども3人以上世帯は600万円に年収上限を引き上げます。
このほか24年度から修士段階の学生を対象に「授業料後払い制度」も導入します。
■(働き方改革)育休給付金を手取り10割に
育児休業取得が当たり前となるよう、方針案では対応を抜本的に強化。男性の育休取得率の政府目標を2025年に50%、30年に85%と、大幅に引き上げるとしています。
また、「産後パパ育休」(出生時育休、最大28日間)を念頭に、両親とも育休を取得した場合、給付金の割合を現行の「手取りで8割相当」から「手取りで10割相当」へ引き上げることとし、25年度からの実施をめざします。
若い世代が将来の見通しを持てるよう賃上げに取り組むほか、リスキリング(学び直し)なども支援します。
■医療費助成で自治体支援/就労問わない保育を創設
公明党がリードし、おおむね全ての市区町村で実施されている子どもの医療費助成。方針案では自治体を支援するため、助成の実施により増えたとされる医療費分を国民健康保険の国庫負担(補助金)から差し引く減額調整措置の廃止を掲げています。これにより、施策の充実へ財源を確保できるようになります。
“孤育て”(孤立した状態の育児)を防ぐ取り組みも重要です。そこで、月一定時間までの利用可能枠の中で、就労要件を問わず時間単位などで柔軟に保育を利用できる「こども誰でも通園制度(仮称)」を創設します。
学校給食費の無償化に向けては、実態調査を基に課題の整理を丁寧に行い、具体的方策を検討するとしています。
社会的養護の下で育った子どもの自立支援に向けた学習環境整備などの支援強化や、児童虐待防止対策の拡充、医療的ケア児の支援基盤の充実も推進します。