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2023年6月7日

女性に多い 骨粗しょう症

政府、検診促進へ本腰 
10%増めざす新目標 
受診率はわずか5.3%

加齢などにより、骨密度が減少する骨粗しょう症になると、骨折しやすくなり、要介護状態に陥るリスクも高くなる。しかし、予防や早期発見に有効な骨粗しょう症検診の受診率は全国的に低い。政府は、先月31日に発表した国民の健康づくりに関する新しい計画に受診率向上の目標を新たに盛り込むなど、検診促進へ本腰を入れる。公明党の地方議員が推進し、検診を実施する自治体も増えている。

約10年前。当時、60代だった女性のAさんは、都内の病院で、「骨粗しょう症検診」のPRポスターが目に入った。何気なく受けてみたのが、主な検査法の一つであるQUS法(超音波法)だった。専用の機器に、かかとを乗せて測定したところ、骨量が低いことが判明。詳しい検査を受けた結果、骨粗しょう症と診断された。以降、薬の服用などの治療を続け、骨密度は改善傾向にある。

「骨密度が少なく骨折してしまった知人は多い。あの時、思い切って受診して良かった」とAさんは振り返る。

男性の3倍超

骨粗しょう症の患者は、軽い転倒や、くしゃみなどでも骨折しやすくなる。特に女性は、閉経後の女性ホルモン減少の影響は大きく患者が多い。国内患者数のうち、男性300万人と比べて女性は980万人と3倍以上と推計されている。

適切な治療で骨折防止
“要介護”のリスク減らせる

同症に詳しい原宿リハビリテーション病院(東京・渋谷区)の林泰史名誉院長は「骨粗しょう症と診断されても、薬の服用と併せて栄養の改善、適切な運動、日光浴の習慣化などを続けていくことによって、骨量の回復を図ることができる」と強調。「高齢化の進展により、今後はさらに患者数の増加が見込まれる。骨粗しょう症検診によって患者や予備軍を早期発見して、適切な治療などを行っていけば骨折を防止でき、将来、要介護状態になるリスクを減らせる」と力説する。

実施自治体は6割

主な検査方法

同検診の実施は、健康増進法に基づき、2008年に市区町村の努力義務に位置付けられている。自治体によって異なるが、一般的には40歳から5歳ごとに70歳までの女性を対象に無料または低額で受けられる。検査方法には、QUS法のほか、X線を用いたDXA法やMD法などがある【図参照】。

ただ、必ず行わなければならない事業ではないため、実施率は全体の6割にとどまる。骨粗しょう症自体に自覚症状がなく、検診への理解が進んでいないため、検診の実施自治体においても受診は低調だ。骨粗鬆症財団の調査によると、21年度の受診率は全国平均でわずか5.3%だ。

こうした課題を踏まえ、政府は、24年度から35年度までの次期国民健康づくり計画「健康日本21(第3次)」を先月31日に発表。その中で、女性に関する項目を新設し、骨粗しょう症の検診受診率を現状より10ポイント引き上げ、15%まで向上させる目標を明記している。

厚生労働省の担当者は「検診を一人でも多くの人が受けて、健康寿命を伸ばしてもらいたい」と狙いを語る。

公明、各地で事業を推進

公明党の地方議員が推進し、近年、骨粗しょう症検診事業に着手した自治体もある。

神奈川県大和市では、市議会公明党の後押しで、昨年8月から検診事業を始めた。対象者には、市から受診券(はがき)が送られ、市内27カ所の医療機関において1000円の自己負担で受診できる。昨年度は、対象者1万625人のうち1317人が受診するなど受診率は12.4%に上る。

市医療健診課は「市民から予想以上の反響があった。さらなる受診率向上に向けて今年度も周知徹底に努めたい」と手応えを語る。

東京都目黒区でも、区議会公明党の推進により今秋から無料の検診事業を始める予定だ。

党女性委、政府に対策強化を提言

松野博一官房長官(中央右)に提言を申し入れる古屋委員長(左隣)ら=5月18日 国会内

また、党女性委員会(委員長=古屋範子副代表)は、5月に政府へ提言した「すべての女性のためのトータルプラン」の中で、女性の生涯にわたる健康を支援する観点から、骨粗しょう症検診の対策強化に言及。早期発見と予防のために、検診実施への後押しや必要性の周知など政府の取り組みを求めている。

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