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2023年6月3日

【主張】農業白書 食料の安定供給に危機感示す

食料安全保障の強化を急ぎ、国際情勢の変化によるリスクを抑えられるようにすべきだ。

政府は5月26日の閣議で、2022年度の「食料・農業・農村白書(農業白書)」を決定した。

今回の白書で重要なのは、「食料の多くを海外に依存しているわが国は、将来にわたって食料を安定的に供給していくためのターニングポイントを迎えている」と危機感を示していることだ。

昨年の日本の農産物全体の輸入額は、21年より約3割増加した。ロシアのウクライナ侵略による世界的な需給逼迫、気候変動に伴う不作などの影響に加え、円安で輸入コストが増大したためだ。

特に小麦や大豆、トウモロコシは輸入量に変動がないにもかかわらず、コスト増大で輸入額は過去10年間で最大となった。これが飼料価格の上昇につながり、農業経営に深刻な打撃を与えている。

日本農業を維持し食料の安定供給を確保するには、生産コストに見合った適切な価格転嫁や国内自給率を高めて輸入依存からの転換を進める必要がある。

この点について白書は、生産コストの高騰を受けて価格転嫁した農業者の割合が1割程度にとどまる現状を踏まえ、消費者の理解を得て価格転嫁できる環境づくりが重要と指摘。小麦や大豆など海外依存度の高い品目については、国内生産を拡大していく必要があるとした。

このほか白書は輸出拡大にも言及している。わが国の農林水産物・食品の輸出額は21年に1兆円を突破し、昨年も過去最高を更新した。輸出拡大は人口減少による国内市場縮小の影響を緩和し、国内の生産基盤の維持につながる。

昨年、国内の農業経営の良しあしを示す農業景況指数は、1996年の調査開始以来最低を記録し、農業分野の倒産件数は過去10年で2番目に多い。

白書が指摘するように、日本農業は転換点にあるとの認識で政府は取り組みを強化すべきである。

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