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【主張】外国人への日本語教育 質の向上へ新法の意義大きい
日本で暮らす外国人に日本語教育を適正かつ確実に実施するための「日本語教育機関認定法」が、5月26日の参院本会議で与党両党などの賛成多数で可決、成立した。日本語学校を国が認定する制度と日本語教員を国家資格とする制度の創設を柱とした新しい法律である。
国内の在留外国人は昨年6月末時点で296万人と過去最多を更新し増加傾向にあり、日本語教育への需要が高まっている。
一方、日本語学校については施設によって教育水準にばらつきがあり、日本語教員の半分以上はボランティアだ。日本語学校の質の向上へ、新法成立の意義は大きい。
新法で創設される日本語学校の認定制度は、教員の体制や施設、教育課程の編成などで一定の要件を満たす日本語教育機関を、文部科学相が適正な教育機関であると認めるものだ。
認定された学校の情報は多言語でインターネットなどで公表される。学校側には、教育実施状況の定期報告が義務付けられ、文科相は必要に応じて報告要求や勧告、是正命令を行える。
日本語教員の国家資格制度は、所定の試験に合格し実践研修を修了すれば「登録日本語教員」としての登録が文科相に認められる仕組みだ。日本語教員の処遇改善と社会的地位の向上を図り人材確保につながることが期待できる。なお、現職の日本語教員らについては、一部試験や研修の免除などの経過措置を設ける。
公明党は、昨年12月の政府への提言などで、日本語教育機関の認定制度や日本語教員の国家資格化などを求めていた。今回の新法成立を評価したい。
わが国は少子高齢化と人口減少が進み、働き手や地域の担い手として外国人に対する期待が高い。
日本で暮らす外国人にとって最大の不安である「言葉の壁」を克服するための環境整備は喫緊の課題であり、日本語教育の質の向上は、誰一人取り残さない「共生社会」の実現にとって重要であることを強調しておきたい。