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2023年6月1日

コラム「北斗七星」

1歳7カ月のとき病で、見る、聞く、話す能力を失い、幾多の苦闘を経て話すすべを得て三重苦を克服したヘレン・ケラー。盲人福祉に尽力した岩橋武夫の訳による自伝『わたしの生涯』を開いた◆彼女の執筆は、面白いこと、とりとめもないことを書く。「そうしていればおしゃべりもできる」「だれかのお友だちにもなれる」と。声を出すことには「尽きぬ喜び」があるという◆おしゃべり相手は数え切れないが、「いちばん古い友だち」は電話の発明者、グラハム・ベル。彼の世話で無二の恩師、アン・サリバン先生に出会えた。彼は、人里離れて暮らしたいと言うヘレンを、「常人とは違った使命がある」と諭し、いくらでも本を書き、演説し、研究もするのだと励ました◆岩橋がケラー家を訪ね来日を懇願したとき、ヘレンは病床にあったサリバン先生に「はるばる日本から盲人の啓発のために助けてほしいとの依頼だから」と背を押され、訪日を決める。以来、岩橋と親友に◆55年前のきょう世を去ったヘレンは「私の一生は『友情の年代記』」と。彼女が「色とりどりの花が咲き乱れ、かわいい顔で私を見上げてくれます」と言って好きだった「6月」、友情香るおしゃべりを楽しみたい。(三)

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