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コラム「北斗七星」
令和の時代が幕を開け2週間余り。上場企業の2019年3月期決算もほぼ出そろったが、特に自動車決算に注目した。自動運転や電気自動車(EV)で巨大IT企業などの新規参入が相次ぐ中、各社とも事業の変革を迫られ、開発費負担が重くのしかかっている◆売上高が日本企業初の30兆円を突破したトヨタ自動車の社長も、“終わりなき開発競争”を前に「これまでのビジネスモデルが壊れる可能性がある」と危機感をにじませる◆振り返ると、平成の時代に米国でIT(情報技術)革命が起き、それまで世界を席巻する技術力を誇っていた日本企業は瞬く間に出遅れてしまった。この要因として、学習院大学の宮川努教授は、金融危機で経済が深刻化し十分に資金が回らなかったことを挙げる(本紙5月6日付5面)◆当時野党だった公明党は、破綻前の金融機関に公的資金を投入する金融早期健全化法の成立に努力する。与野党の垣根を越えて、国家・国民の立場から取ったこの政策判断は、後に「日本を救った」と評価された◆激化する米中貿易摩擦の経済への影響が懸念される今、「政権の安定」を背景に、対話による多国間の協力関係構築を日本がリードしていく必要があろう。これまで順調に伸びてきた景気を政治が下支えしつつ、繁栄の令和時代を築いていきたい。(史)