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【主張】マイナカード誤登録 再発防止し個人情報の保護徹底を
マイナンバーカード(マイナカード)の誤登録などを巡るトラブルが相次いでいる。政府は誤登録の修正を早急に進め、再発防止に万全を期してもらいたい。
発覚したのは、▽マイナカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」への別人の個人情報の誤登録▽マイナンバーと預貯金口座をひも付け、国や自治体からの給付金などの振込先とする「公金受取口座」への別人の口座情報の誤登録▽マイナポイントを別人に誤って付与▽マイナカードを使ったコンビニでの住民票の写しなどの証明書の交付手続きで、別人の証明書の誤発行――といった四つのトラブルである。
マイナ保険証の誤登録は7312件(2021年10月から22年11月まで)に上る。閲覧できる情報には薬剤の服用記録なども含まれている。別人の情報を基に薬が処方され、それを服用するようなことがあれば、命に関わる。
公金受取口座の誤登録は14自治体で20件。誤入金は確認されていないという。また、マイナポイントの他人への誤付与は90自治体で113件あった。
これら三つのトラブルは、健康保険組合や自治体の窓口がマイナカードと個人情報のひも付け登録を行う際の人為的なミスが原因だ。個人情報の入力で同姓同名だったり、生年月日が同じだったりする別人の情報との取り違えや、ある人の口座情報の入力作業を中断し、ログアウトせずに別人の口座情報を入力して上書きすることなどがあった。こうした人為的なミスを防ぐ確認を二重、三重に行うなどの対策が必要だ。
一方、3月以降、14件起きているコンビニでの証明書の誤発行は、富士通の子会社が運用するシステムの不具合に起因する。不具合の原因調査で、最長で来月4日まで一時停止し、一斉点検を行っている。
個人情報の保護は基本的人権の保障にも関わる重要な取り組みだ。マイナカードを国民に安心して使ってもらうには、個人情報の保護が不可欠であることを政府は肝に銘じるべきだ。