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コラム「北斗七星」
最近、地震の報によく接する。個人の思いだが、これまでで最も恐ろしかったのは、中学生の時の宮城県沖地震だ◆部活からの帰り道、道の先の方からゴーッという音が。ダンプカーがよく通る道なのにダンプは見えず、足元がすごい勢いでユッサユッサと揺れた。近くの空き地に逃げ込もうとすると、ブロック塀がバタンバタンと倒れかかる。電柱が揺れ架線がビヨンビヨンと不気味に鳴った◆45年を経た今も、あの時の地鳴りに似た、ヘリコプターの音などを聞くと身がすくむ。ブロック塀倒壊による死者が多く、耐震性を強化する1981年の建築基準法改正のきっかけになった地震でもある◆上京し大学に入った頃、日本海中部地震が起きた。津波の犠牲者100人。人々を襲う津波の映像に戦慄を覚えた。普及し始めていた家庭用ビデオカメラで被災者が身の危険を感じながら津波の諸相を捉えた映像は海外でも放映され、津波の恐怖を世界に知らしめた。その地震から、きょうで40年◆東日本大震災の後、被災地に入った際、余震のたびの地鳴りに身がすくんだ。取材で聴いた津波の体験を決して忘れまいと誓った。揺れと津波の教訓を今、自身に繰り返し言い聞かせている。(唄)