ニュース
軽救急車で救命率アップ
狭い道も通行可能に
大分・臼杵市
大分県臼杵市消防本部は4月から、通常の救急車(高規格救急車)よりも小型の「軽救急車」を導入している。高規格救急車では進入できない狭い道でも通行でき、小回りが利くため、より迅速に傷病者を搬送することが可能だ。救命率向上や傷病者の容体悪化防止につながる軽救急車の導入については、公明党の戸匹映二市議が推進してきた。
■搬送時間短縮し容体悪化防ぐ
市消防本部の担当者(右)から軽救急車の運用状況を聞く戸匹市議
臼杵市消防本部が導入した軽救急車は、全長約3.4メートル、幅約1.5メートル、高さ約1.9メートルで、通常の高規格救急車(全長約5.7メートル、幅約1.9メートル、高さ約2.5メートル)と比べ車体が小さく、狭い道でも走行できるのが特長だ。
車内には、自動心肺蘇生器やAED付きモニターなどを積載。車両上部には荷台を設置し、負傷者の全身を固定して運ぶバックボードなど大型の資器材も搬送可能になっている。乗車定員は4人。
軽救急車は出動要請を受けると、高規格救急車と同時に出動。高規格救急車は現場近くの広い場所で待機し、軽救急車で搬送されてきた傷病者を乗せ換えて病院まで運ぶ。軽傷の場合や現場が搬送先の病院まで近い場合は、軽救急車のみの出動も想定している。
これまでは高規格救急車が進入できない場合、救急隊員が徒歩で傷病者のもとへ移動し、ストレッチャーで救急車まで運んでいた。徒歩での移動は現場までの到着や、救急車への搬送に時間がかかる上、風雨や寒暖、搬送時の揺れで傷病者の容体が悪化するリスクがあった。
■市民の声受け公明推進
市内には狭い道が多く、通常の高規格救急車では進入できない地域が多い
城下町である臼杵市の市街地は狭い道路が多く、沿岸部や山間部でも高規格救急車が進入できない場所は少なくない。2019年の人口集計表を基にした市消防本部の調査によると、全世帯の1万7201世帯のうち、救急車が家の前、もしくは直近まで進入できないのは2891世帯。全世帯の約17%に上り、地区によっては35%以上になるという。
市民から「救急車が通れないので道幅を広げるなど、対応してほしい」との声を受けた戸匹市議は、20年12月の定例議会でこの課題に言及。「救急車が入ってこられない地域の市民は、ずっと不安を抱えて暮らしている」として、軽救急車の導入を一貫して推進してきた。
市消防本部の庄司哲宏・警防課長は「軽救急車を導入してから、早速、傷病者の容体の悪化防止などに効果を発揮している。今後も、救命率の向上のために努力していきたい」と強調している。