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コラム「北斗七星」
「おまん誰じゃ。見たことないき。ひよっとして新種じゃないかえ。初めまして」。4月3日から始まったNHK連続テレビ小説「らんまん」の初回放送。主人公の槙野万太郎が、手にした植物に満面の笑顔で話しかける冒頭シーンが印象的だった◆モデルは高知県が生んだ植物学者・牧野富太郎博士で、このロケ地も同県安芸市にある伊尾木洞。シダの群落が広がる全長約40メートルの海食洞で神秘的な雰囲気が漂う人気スポットだが、今年は一番の人出だという◆同県では、観光博覧会「牧野博士の新休日」を各地で開催中。このゴールデンウイークも、博士の関連施設は“らんまん効果”の追い風でにぎわった◆連日、開園待ちの客が列をなした県立牧野植物園(高知市)では、博士の業績や人柄を紹介した常設展示も大人気。出生地の佐川町では博士ゆかりの施設をリニューアルし、幼少期に歩いたとされる山道も整備している◆ドラマでは今週から、東京での生活が始まった。到着したばかりの停車場の前でも、万太郎は道端に咲くタンポポの花を見つけ、「今日からわしも仲間じゃき。よろしゅうのう」と。なんとも優しい人柄がにじみ出るシーンに、見ているこちらも笑顔になった。(祐)