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【主張】国産の海洋資源 開発促進し安定調達に道筋を
政府は4月28日、2023年度から5年間の海洋政策の指針となる「第4期海洋基本計画」を決定した。海洋資源開発の推進や脱炭素社会への取り組み、海洋産業の成長などが柱で、公明党の昨年11月の提言が随所に反映されている。
日本は、エネルギーや鉱物資源の大半を輸入に頼るが、ロシアによるウクライナ侵略や世界的な経済回復などが安定調達のリスクとなっている。こうした中、海域を生かした国産資源の開発などに力を注ぐことは、経済安全保障の観点から極めて重要である。
まして日本は四方を海に囲まれ、排他的経済水域(EEZ)と領海を合わせた面積が国土の約12倍に上る世界有数の海洋国家だ。この利点を最大限に生かすべきである。
今回の基本計画で注目したいのは、メタンハイドレートの産業化・商業化を掲げたことだ。メタンハイドレートは、天然ガスの主成分であるメタンガスと水が結合した氷状の物質で、次世代のエネルギー資源として期待されている。わが国は既に近海の海底からの産出に成功しており、量産化に向けた技術開発を急ぐ段階にある。
レアアース(希土類)の産出技術の開発促進も重要だ。最先端の電子部品などの生産に欠かせないレアアースは、南鳥島海域に世界需要の数百年分に相当する埋蔵量があると推計されており、国産化に道筋を付けたい。
脱炭素化について基本計画では、EEZ内での洋上風力発電設備の設置に向け、法整備を進める方針を明記した。洋上風力は夜間や曇天でも発電に活用できるため、日本にとって貴重なエネルギー源だ。日本は遠浅の海域が少なく、海に浮かべる「浮体式」の導入が適している。技術開発やコスト低減などの課題克服が急務だ。
また、海洋産業の発展には、専門的な知識・技術を有する人材が欠かせない。高齢化や人員不足などが指摘される中、人材の育成・確保に向け、官民挙げた取り組みが一段と求められる。