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【主張】親子連れの外出支援 「ファスト・トラック」の普及を
「こどもの日」には「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」という趣旨が込められている。子どもの健やかな成長を社会全体で支えていくとの思いを改めて強くしたい。
ゴールデンウイーク(GW)は親子で外出する良い機会である。一方、外出先の遊園地や博物館などで長蛇の列に並んで待つようなことがあった場合、子どもが我慢できなくなって泣き出したり、騒ぎ出したりしたらどうしようかと不安を抱く親も少なくない。
そうした不安を軽減し、親子連れの外出を支援するため、政府は「こどもファスト・トラック」(特別な近道)の普及を進めている。子どもが訪れてみたいと思うさまざまな施設で、親子連れが列に並ばず、優先的に入場できるようにする取り組みである。
政府は先月18日、こどもファスト・トラックの全国展開に向けた関係省庁会議を開催。子ども政策の司令塔の役割を担う「こども家庭庁」が主導し、子どもが関心を持ちそうな幅広い分野の施設やイベント会場などで導入されるよう、関係団体に働き掛けていく方針を決めた。
こどもファスト・トラックは、国の一部の施設で既に導入されたケースがある。例えば、環境省所管の国民公園である新宿御苑(東京都新宿区)では、例年、桜が見頃を迎える3月下旬から4月上旬にかけて入場を事前予約制としていたが、今年はこどもファスト・トラックを設けて、親子連れは予約がなくても入場できるようにした。
子どもがより楽しめる環境を整えるとともに、子どもと一緒に外出する際の親のストレスを緩和する一助になるという点で、こどもファスト・トラックは子育て支援にもつながる。政府は自治体や民間の施設にも導入を促してほしい。
子どもや親子連れへの配慮を障がい者や高齢者にも広げたい。他にもファスト・トラックが必要な人たちがいれば、政府は導入を検討し、全ての人に優しい社会を築くことが重要だ。









