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「子育てプラン」実現せよ
公明、少子化対策で首相に提言
児童手当、18歳まで対象拡大
所得制限撤廃、多子世帯加算も
3年間を「集中期間」に
提言のポイント
〇次世代育成へ”緊急提言”発令
〇児童手当拡充で家計負担軽減
〇高校3年生までの医療費助成
〇専業主婦も利用可の保育制度
〇奨学金の減額返還制度を改善
岸田首相(右から2人目)に提言を手渡す高木政調会長(左隣)ら=28日 首相官邸
公明党の高木陽介政務調査会長は28日、首相官邸で岸田文雄首相らと会い、少子化対策に関し、2030年までに党の「子育て応援トータルプラン」を最大限実現するよう要請するとともに、23年度からの3カ年を「次世代育成・集中期間」と定めて、児童手当の拡充や高等教育無償化の拡大などを求める提言を申し入れた。岸田首相は「しっかり受け止める。(政府の子ども政策の)たたき台に反映できるよう努力したい」と応じた。山本香苗参院議員、中野洋昌衆院議員、小倉将信こども政策担当相が同席した。
席上、高木政調会長は「少子化を食い止めていくには、社会全体の意識をガラッと一変させる取り組みが必要不可欠だ」と強調。「次世代育成のための緊急事態宣言」を発令するとともに、30年までの少子化対策の全体像と財源を示し、国を挙げて最優先で取り組むべきだと訴えた。
提言では、経済的支援の強化に関し、家計負担を軽減するため、児童手当や児童扶養手当の拡充を要請。具体的には児童手当について、18歳までの対象年齢の拡大や所得制限の撤廃、多子世帯への加算を求めた。児童扶養手当に関しては、第2子以降の増額を訴えた。
■教育無償化、段階的に拡充を
高等教育無償化の拡大では、段階的な拡充に向け、まずは多子世帯や理工農系学部で中間所得層まで対象を広げるよう主張。また学校給食に関して、食のセーフティーネットなどの観点から、無償化をめざして実態を把握し、課題を整理することを提案した。
安心して子どもが医療を受けられるよう、国民健康保険の減額調整措置の見直しを推進するとともに地方財源を確保しつつ、高校3年生までの医療費無償化も要望した。
子育てサービスの拡充を巡っては、専業主婦家庭も保育所などを利用できる制度の創設や保育士の配置基準の改善などを要望。若者の経済的基盤の強化では、貸与型奨学金の減額返還制度の年収要件見直しなど、柔軟な返還を可能とする仕組みの構築を求めた。
一方、働き方改革に関し、育児休業給付金の給付率を男女ともに実質10割への引き上げを要請。育休制度の対象外となっているフリーランスや自営業の女性に対する新たな支援策、短時間勤務制度の対象を就学前まで広げることも明記した。
このほか次世代育成の社会転換に向けては、当事者をはじめ政治、行政、経済、地域社会などの各界で構成する「次世代育成のための国民会議」(仮称)の設置を提唱した。