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電動車いすも動きやすく
ホテルなどの一般客室 バリアフリー化拡充
国が設計標準を改正
電動車いす利用者も動きやすく――。
2020年の東京五輪・パラリンピックを見据え、ホテルなどの一般客室で浴室の出入り口幅基準を従来の70センチ以上から75センチ以上に改善する取り組みが始まっている。
国土交通省は3月下旬、宿泊施設のバリアフリー化を進めるための国のガイドライン「建築設計標準」改正版を発表した。今回の改正では、車いす利用者用の客室だけでなく、一般客室内の浴室やトイレのバリアフリー化を拡充。出入り口幅基準を70センチ以上から75センチ以上に改善することで、従来は通れなかった電動タイプなどの大きな車いすでも移動しやすい環境の整備を進めている。また、浴室やトイレに至る通路の幅も100センチ以上確保するよう明記した。
東京五輪・パラリンピックが1年後に迫る中、車いす利用者に対応する宿泊施設の客室数は全国で不足している。こうした供給不足を補い、障がい者や高齢者が安心して利用できる施設づくりは急務の課題となっており、今後も官民を挙げた取り組みが進められる見通しだ。
公明、ネットワークで推進
公明党は、バリアフリー施策を強力に推進。2月1日の参院本会議の代表質問で山口那津男代表が「ホテルによっては、トイレや浴室の出入り口の幅が狭いため、電動車いすが利用できない事例がある」と指摘し、改善を主張。石井啓一国交相(公明党)は建築設計標準の改正に言及し、「自治体や民間事業者などと連携し、一層の推進に取り組む」と答弁していた。また、2月4日には都議会公明党(東村邦浩幹事長)が小池百合子知事に、一般客室の浴室などの出入り口幅を75センチ以上にする努力義務の重要性を訴え、関連条例の改正をリードするなど、国会議員と地方議員のネットワークで、全国のバリアフリー環境の整備に取り組んできた。