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【主張】自転車ヘルメット 命守る手段として定着させたい
4月1日から、自転車に乗る際のヘルメット着用が年齢を問わず「努力義務」となる。改正道路交通法の施行によるものだ。
現行法では、ヘルメット着用の努力義務は13歳未満の子どもが対象だが、これを全ての自転車利用者に拡大する。
努力義務であるため、着用するかどうかは利用者の意思に委ねられるものの、事故の際に命を守る手段としてヘルメットは重要な役割を果たす。行政や警察は法改正の趣旨を丁寧に周知し、着用を促してほしい。
実際、自転車の死亡事故のうち最も多いのが、頭部へのダメージが主因となったケースだ。また、ヘルメット着用時の致死率は、未着用時と比べて半分以下という警察庁の分析もある。
転倒や衝突といった危険がつきまとう自転車を利用する際に、ヘルメットがリスクを低減させるのに有効であることは明らかだ。
ただ、民間団体の調べによると、自転車利用者のヘルメット着用率は、全国平均で約11%にとどまる。改正法施行により、着用する習慣が定着することを期待したい。
また、今回の努力義務化を見据え、公明議員の推進によってヘルメットの購入費を補助している自治体もある。着用率アップに向けた取り組みとして他の自治体の参考になろう。
ヘルメット着用と同時に進めたいのが、交通ルールの順守に対する意識の向上だ。
道交法上、自転車は「軽車両」と定められており、車道の左側走行が原則となっている。信号も、歩行者用ではなく車両用の信号を守らなければならない。飲酒運転はもちろん、携帯電話を操作しながらの運転も禁じられている。しかし、これらが守られていないケースを目にすることが多い。
警察庁によると、昨年起きた自転車による歩行者の死亡・重傷事故のうち、自転車側の法令違反は7割を超えている。
今回の改正法施行を契機に、安全走行に対する意識を高める取り組みも行政や警察に求めたい。