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【主張】代替フロン対策 温暖化防止へ回収率向上が急務
冷蔵庫やエアコンなどで温度を下げる物質(冷媒)として使われる一方、地球温暖化への影響が指摘される「代替フロン」。法改正を含む排出抑制策を急ぐ必要がある。
代替フロンは、オゾン層を破壊するため世界的に製造禁止が進んだ「特定フロン」の代わりに使用されている。
しかし、最大で二酸化炭素の1万倍を超す温室効果を持つため、2016年に国際的な規制対象となった。日本を含む先進国は36年までに基準となる11~13年の平均から、生産量を85%減らさなければならない。
このため、わが国も対策に乗り出している。昨年4月には家庭用のエアコンなどを保管・処分する事業者に届け出を義務付け、今年1月からは、代替フロンの製造や輸入について数量の上限を定めた規制が始まった。
こうした取り組みを着実に進めなければならない。
一方で課題も残る。代替フロン対策では生産・消費規制と併せ、ガスを大気に放出させないことが重要だが、17年度の日本の代替フロン排出量は13年度比で4割以上も増えている。中でも業務用機器からの排出量が多く、廃棄時の回収率は30%台にとどまる。
そこで政府が今国会に提出したのが、フロン排出抑制法改正案だ。
現行法は、使用者が機器の廃棄時に専門業者に依頼し、代替フロンを抜き取ることを義務付けているが、周知が進まず、違反を繰り返さなければ罰則が科せられなかったため、そのまま廃棄する例が後を絶たなかった。
こうした現状を改善するため、改正案は一度の違反でも罰則の対象とし、代替フロンの回収済み証明書がなければ処理業者が機器を引き取れなくする。国は回収率を20年に5割まで引き上げる目標を掲げており、今国会で成立を期したい。
一部メーカーなどは、冷蔵庫や自動販売機に炭化水素やアンモニアといった温暖化への影響が小さい自然冷媒の導入を進めている。ただ、コストが高いのが難点だ。
政府は自然冷媒の普及を支援しつつ、産官学の連携を促して、低コストで環境に優しい新冷媒の開発も後押しする必要がある。