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【主張】孤独・孤立対策で新法 社会全体の課題として支援強化
「孤独・孤立対策推進法案」が国会に提出された。長期にわたるコロナ禍で深刻化する孤独や孤立の問題に対処するための新しい法律案で、公明党の主張が反映されている。今国会での成立を期したい。
法案は基本理念として、社会のあらゆる分野における対策の推進や、当事者とその家族の立場に立った支援を継続的に行うことを掲げている。
その上で、対策の策定と実施を国や自治体の責務と位置付け、首相を本部長とする「孤独・孤立対策推進本部」を設置し、対策の具体的な目標や達成期間を盛り込んだ「重点計画」を策定するとしている。
省庁の縦割りを排した取り組みで、実効性の高い対策につなげてもらいたい。
法案で特に重要なのは、孤独・孤立について、人生のあらゆる段階で誰にでも生じ得るものであり、当事者の問題を「社会全体の課題」として捉える必要があると明記していることだ。
コロナ禍に伴う外出自粛や失業などは、自殺やDV(配偶者などからの暴力)、児童虐待、困窮といった問題を顕在化させた。14日の厚生労働省の発表によると、昨年の自殺者は2万1881人で前年より増加している。
また、政府が昨年発表した実態調査の結果では、孤独感が「しばしば・常にある」「時々ある」「たまにある」との回答が合わせて4割近く上った。年収が低いほど孤独感を感じる割合が高く、心身の健康状態が悪い人ほど孤独感が強いことも分かった。
法案がめざしているように、孤独・孤立に悩む人を取り残さない社会の構築が急務である。
公明党は、2021年2月、社会的孤立防止対策本部を設置し、孤立の実態などについて1000件を超える聞き取り調査を実施。その結果を基にした同年5月の政府への提言では、社会的孤立を「個人ではなく社会の問題」と位置付けるよう訴え、対策の推進と法整備の検討を求めていた。
今後も政府の取り組みを後押ししていく。