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参院選と公明党
7選挙区完勝、比例6以上を
斉藤鉄夫幹事長に聞く
参院選が間近に迫りました。公明党は参院選勝利に向けてどう戦い、何を訴えていくのか。斉藤鉄夫幹事長にインタビューするとともに、有識者からの期待の声、最近の実績などを紹介します。
斉藤鉄夫幹事長
党の命運かけた戦いに断じて勝つ
――参院選の意義と公明党の取り組みは。
斉藤幹事長 令和の時代を迎え、初の国政選挙です。公明党にとっては党の命運をかけた戦いです。12年前の「亥年の選挙」で党は統一地方選で完勝しましたが、参院選では3選挙区で惜敗。その意味で今度の参院選は雪辱戦です。埼玉、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡の7選挙区に擁立する7人の全員当選と比例区で6以上を何が何でも勝ち取ってまいります。この目標を達成すれば、参院公明党は非改選の14議席と合わせて27議席以上となり、現行の選挙制度となって過去最多の議席数となります。結党55年の節目を飾り揺るぎない党の基盤を築くためにも勝利へ全力を挙げます。
――参院選で公明党は何を訴えますか。
斉藤 公明党は選挙区、比例区とも「政治を変える力」を持った候補をそろえており、その持ち味を訴えていきたい。
また日本が抱える最大の課題は、人口減少、少子高齢化の克服です。そのためには、子育てから高齢者福祉まで支援する全世代型社会保障の強化が不可欠です。引き続き自民、公明両党による安定した連立政権で政策を遂行していくことが重要です。自民党ともしっかり協力し連立与党の勝利をめざします。
「100万人訪問」もとに現場から政策立案
――参院選に向けた重点政策を発表しましたが。
斉藤 参院選大勝利へ全議員が総決起した4月27日の全国県代表協議会で重点政策を発表しました。
具体的には、(1)「子育て安心」社会に(2)着実な賃上げの実現(3)希望ある“幸齢社会”に(4)一人の生命を守り抜く(5)誰もが輝く社会の実現――の「5つの柱」を掲げました。
公明党は、昨年4月から6月までの3カ月間、全議員が地域に飛び込み、「100万人訪問・調査」運動を全国で繰り広げました。ここでは、人口減少・少子高齢化時代を克服するため、子育て、介護、中小企業、防災・減災の4テーマでアンケートを行うとともに、現場から数多くの意見・要望をうかがいました。その調査結果をもとに、今回の重点政策をまとめました。
また、この参院選から参院の議員定数が増えることから、これに伴う国民負担を避けるため、自民、公明の与党両党などで提出した、参院議員の歳費を月7.7万円削減する法案を今国会で確実に成立させます。
合意形成の政治進め、国民の信頼高まる
――自公連立政権の中で公明党が果たしている役割は。
斉藤 「世界で大衆迎合主義と権威主義が高まる中、日本は社会的・経済的安定で際立っている」(オニール英王立国際問題研究所会長)と言われるように、欧米各国で社会の分断や対立を煽る言動が吹き荒れる中、日本の政治の安定に対する評価は高く、国内外からわが国のリーダーシップに期待が集まっています。
公明党が自民党との連立政権に参画したのは1999年。民主党政権の3年余を除き、21世紀のほとんどは自公連立政権の時代です。公明党は「大衆とともに」との立党精神を胸に、全国の党員、地方議員、国会議員によるネットワークを生かし、小さな声を受け止め、国民的な合意形成を進める中道政治をリードしてきました。
社会保障制度の充実や防災・減災対策など生活者目線で数多くの政策が前進したほか、社会的に弱い立場の人たちに配慮し、消費税率10%引き上げ時に軽減税率の導入を実現。さらに、平和安全法制では、「公明党がいたから憲法9条は守られ、平和主義が堅持された」との評価も得ました。
自公連立政権に生活現場と直結した公明党がいるからこそ、政治と社会の安定が前進し、「安心の政治」へ国民の信頼が高まっていると自負しています。
参院選重点政策「5つの柱」
1 「子育て安心」社会に
教育の無償化、待機児童ゼロ、児童虐待根絶に取り組みます。具体的には10月からの幼児教育・保育の無償化や、2020年4月からの私立高校授業料の実質無償化に加え、高等教育無償化の実施を推進します。給付型奨学金の充実や、所得連動返還型奨学金の既卒者への適用など柔軟な奨学金返済を支援します。
待機児童ゼロでは、保育ニーズに応じた保育の受け皿の拡大や保育人材の確保などを推進。児童虐待に対しては、体罰禁止規定の創設を盛り込んだ法改正などで根絶をめざします。
2 着実な賃上げの実現
経済の好循環をさらに進め、その実感を家計に届けるための施策を強力に進めます。
具体的には、最低賃金を全国加重平均ベースで20年代前半には1000円超に、20年代半ばに半分以上の都道府県で1000円超をめざします。
10月からの消費税率10%への引き上げに備え、軽減税率の実施や、経済への影響が出ないよう万全の対策を進めます。また、中小企業、観光、農林水産業などの活性化を支援。特に、訪日外国人旅行者4000万人時代へ対応を急ぎます。
3 希望ある“幸齢社会”に
認知症施策や介護、がん・生活習慣病対策強化で、健康寿命を延伸させます。
認知症施策の推進に向けた基本法の早期制定をリードするとともに、かかりつけ医を認知症診療の中核に据える医療体制の構築などを推進します。また、地域包括ケアシステムの構築などで、介護サービスの充実を図るほか、がん検診の受診率50%以上の達成や、生活習慣病の合併症予防を含む重症化予防対策を強化します。
さらに、高齢者の移動手段の確保と安全運転支援を充実させます。
4 一人の生命を守り抜く
防災・減災・復興を社会の主流に押し上げます。
国の「3カ年緊急対策」を効果的に進めます。防災意識社会の構築に向け、復興庁の後継組織として「復興・防災庁」(仮称)を創設し防災専門人材の育成と緊急体制を整えます。自主防災組織の充実やマイ・タイムライン(防災行動計画)、ハザードマップ(災害予測地図)の普及で、地域防災力を高めます。
さらに、復興・創生期間後も、国が前面に立って東北の復興を進め、熊本地震、西日本豪雨災害からの復旧・復興を加速させます。
5 誰もが輝く社会の実現
子ども・若者・女性・障がい者・性的マイノリティー(少数者)・外国人への支援を充実させ、誰一人置き去りにしない社会を構築します。
生活困窮者への自立支援では、既存の制度で対応しきれない困りごとをワンストップ(1カ所)で支援する体制の強化や、子どもの学習・生活支援などに力を注ぎます。
また、就職氷河期世代の無業者・非正規労働者へのきめ細かい支援に取り組み、ひきこもり者などの訪問支援や、非正規労働者の正社員就職に向けた支援などを充実させます。