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2023年3月7日

リトルベビーハンドブック 活用を

党合同会議での講演要旨 
国際母子手帳委員会事務局長 板東あけみ氏

公明党女性委員会(委員長=古屋範子副代表)と党厚生労働部会(部会長=佐藤英道衆院議員)は先月、衆院第1議員会館で合同会議を開き、早産などで小さく生まれた赤ちゃんの成長記録を書き込める「リトルベビーハンドブック」の活用について、国際母子手帳委員会の板東あけみ事務局長から話を聴きました。その講演要旨を紹介します。

公明推進で今年度中に37道府県へ

講演する板東氏=2月 衆院第1議員会館

リトルベビーハンドブックの導入が全国に広がりつつあります。作成している都道府県は今年度末までに37道府県に達する予定で、残る10都県も半数近くは新年度の作成を検討しています。各地の議会などで最も積極的に推進してくださった公明議員の皆さまに、心より御礼と感謝を申し上げます。

全国に先駆けて導入された静岡県のリトルベビーハンドブックの表紙

なぜ、このハンドブックが必要なのか。低出生体重児の親の気持ちに目を向けてみます。母親はおなかの中で赤ちゃんが動くのを感じたころから、自分の赤ちゃんのイメージを膨らませ、ワクワクするような期待をお持ちだったことでしょう。ところが、10カ月まで待たずに心の整理ができないまま出産。赤ちゃんを初めて見たときに、イメージとは全く違う、痛々しいチューブがたくさん付いた小さなわが子の姿に、深い自責の念に駆られてしまいます。

出産後には、赤ちゃんを残して退院するつらさを伴うだけでなく、「元気な赤ちゃんを生んだ友達には言いづらい」「家族にも心配を掛けてしまい申し訳ない」といった落ち込んだ状態が続きます。「人生のどん底だった」という声も多く聞きます。

そうしたつらさに拍車を掛けるのが、既存の母子健康手帳が使いにくいことです。一般的な母子健康手帳の場合、赤ちゃんの体重が1キロ以上からしか記録できないため、低出生体重児の親たちは書きたくても書けずに、不安を感じて落ち込むケースも少なくありません。

こうした実態を踏まえて、リトルベビーハンドブックは低出生体重児を出産した母親らが考案し、2011年に静岡県で誕生しました。

このハンドブックの特徴として▽書き込む中でわが子の発育を感じ、標準と比べなくて良いと理解できる▽先輩経験者のメッセージに、安心感や将来への期待感を得られるとともに、地元の当事者サークルの情報を入手できる▽地元の相談機関の連絡先が分かる――といった点が挙げられます。

作成する主体については、専門機関のネットワークの構築を進め、公平な配布も期待できる点から、都道府県単位で取り組むことが望ましいです。仮に、厚生労働省が作成したハンドブックを全国展開した場合、確かに行き渡るのは早いかもしれませんが、都道府県の担当者が母親たちの苦しみを全く知らないまま、活用を促す恐れもあります。

また、市町村単位での作成になると、対象者が少なくなり同じ県内で格差も生まれます。都道府県が作成して、地域で新生児集中治療室(NICU)を抱える全ての医療機関での配布を基本とし、他県での出産などに備えて市町村の窓口でも配布できるようにすると、母親が一番つらいときにお渡しできて効果的かと思います。

回り道のように感じるかもしれませんが、都道府県主導で検討委員会を設置し、相互に理解を深めながら作成を進めていただきたいと思います。

増刷が必要、外国語版も

静岡県のリトルベビーハンドブックには赤ちゃんと家族の「初めて」の記録ができるページも

実際にリトルベビーハンドブックを作成した道府県の担当者に聞くと、「(検討会議や作成過程を通じて)当事者団体や関係機関との顔の見える関係づくりにつながった」「ハンドブックの活用を自分の実感を持って勧められる」などの声が寄せられます。苦労して作った効果が表れていると感じます。

一方、今後の課題もあります。一度発行したハンドブックを毎年度、新たに印刷する必要があるほか、利用者の要望や医学情報の更新を踏まえて、修正・増刷することなどが求められます。そのため、都道府県がハンドブックを安定的に作成・増刷できるよう、国から補助をお願いしたいと思います。

また、外国語に対応したハンドブックの必要性も感じてはいますが、冊数が少ないため、都道府県単独での作成は難しいとの声が上がっています。そこで、外国語版に関しては、全国で統一したハンドブックの作成を検討いただければと思います。

低出生体重児とその家族への支援については、ハンドブックの充実以外にも、サポートの輪を広げていただきたい。母乳冷凍パック代や小さな紙おむつ代への助成をはじめ、希望者が産後ケアを利用できる体制の整備も必要です。

また、働いている母親に対しては、産前産後休業や育児休業の期間を延長するなど、親たちを支える環境づくりに取り組んでいただきたいと願います。

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