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コラム「北斗七星」
雄の成獣なら体長3メートルを超え、体重は1トンにも。そんなトド約200頭が北海道石狩市の石狩湾新港に姿を現し、「いまだかつてない大群」と地元の漁業関係者は頭を抱えた◆トドが日本海沿岸の道内各地に来遊するのは、毎年10月ごろから。6000頭ほどが冬を越し、5月下旬にはサハリンなどへと戻る。その間、ホッケやミズダコ、ニシンといった地域を代表する海産物を食い荒らす。長年、漁業被害額が10億円を下ることはない◆1日数十キロの餌が必要なトドにすれば、自ら獲物を追うより、網に掛かった大量の魚を狙えば労が少ない。簡単に破られない「強化網」の導入などが一定の効果を上げているものの、対策の決め手までには至らない◆準絶滅危惧種でもあり、この海域で許されている駆除数は年間500頭ほど。それも一筋縄ではいかない。揺れる船上から、波間に見え隠れするトドを仕留めるのは至難の業。ハンターの高齢化や人手不足も追い打ちを掛ける。今回は、「頻繁に船が行き交い、容易に銃を撃てない港湾内は“安全地帯”」とばかりに大挙押し寄せたともいえ、生きる“知恵”にも長けている◆人間の営みと生態系の保全をいかにバランスさせ、野生動物との共生を図るか。さまざまな課題を乗り越える粘り強い取り組みを続けるしかない。(武)









