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【主張】感染症統括庁 危機管理の抜本強化に不可欠だ
コロナ禍は国民生活や経済に甚大な影響を及ぼした。政府は先月、新たな感染症危機に備えるため、新型コロナウイルス対策の特別措置法と内閣法の両改正案を閣議決定した。
感染症発生時に司令塔機能を担う「内閣感染症危機管理統括庁」を内閣官房に新設することが柱である。脆弱さが露呈した危機管理体制の抜本的な強化が不可欠だ。
公明党は感染症に強い国づくりに向け、昨年の参院選重点政策などで、迅速・的確な対応ができるよう、司令塔機能の創設を一貫して訴えてきた。今国会で法改正を実現し、平時からの備えに万全を期したい。
統括庁は、感染症対策の企画・立案や各省庁にまたがる施策を調整し、主導する役割を担う。トップである「感染症危機管理監」には官房副長官を充て、普段は38人の専従職員を、有事には101人に増員する。
官邸主導で感染症対策に当たることは重要だ。統括庁が機動的に対処できるよう、縦割り行政の弊害を排し、実効性の高い体制構築に全力を注ぐべきだ。
また改正案では、新型コロナの初動対応で政府と自治体間の調整が遅れた反省を踏まえ、首相がこれまでよりも迅速に各省庁や都道府県知事に対し「指示権」を発動できるようにする。現行法では緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置の発令中に限られていたが、政府対策本部が設置された時点から首相が指示権を行使できるようにした。
このほか、緊急事態宣言や重点措置の際に、事業者に営業時間短縮などの命令を出す規定が曖昧だったことから明確化を図る。コロナ禍で起きた目詰まりは解消しておく必要がある。
今国会には、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターを統合し、「日本版CDC(疾病対策センター)」として「国立健康危機管理研究機構」を創設する関連法案も提出される。これも公明党の主張が反映されたものだ。科学的知見を集約する新たな専門家組織であり、統括庁との緊密な連携が求められる。