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コラム「北斗七星」
胸躍る、夢が広がる話である。探査機はやぶさ2が小惑星りゅうぐうに直径約10メートルのクレーターを作る世界初の実験に成功、と先週、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発表した◆「クレーターはできても、もっと小さいと思っていた。非常に大きい」。研究者は今回の成果を最大級にたたえる。小惑星には、地球などの大きな惑星では既に失われている太陽系が生まれた頃の痕跡が残っているとみられる。りゅうぐうには、私たちの知らない物質があるかもしれない◆安全を確認した上で、はやぶさ2は今月下旬以降、クレーター内や周辺への着陸と試料採取に挑戦する。実験で得た試料を地球に持ち帰ることができれば、太陽系誕生の謎解明が一層進むと期待も高まる◆米国の宇宙開発を間近に見てきた宇宙飛行士の向井千秋さんは、同国には「挑戦することを称賛する文化の強さ」(4月11日付、読売)があると指摘し、日本でも挑戦すること自体を前向きに評価する社会の必要性を語る◆諸外国と比べ日本の子どもたちは、うまくいくか分からないことに対して意欲的に取り組む意識が低いとされる。そうさせているのは大人の責任である。きょうから新しい時代が始まる。無限の可能性を秘めた次代の宝が、チャレンジ精神を思う存分発揮できるよう後押ししたい。(広)