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23年度予算案、衆院通過
物価高に機動的対応
出産一時金増額、賃上げ促進
2023年度予算案は28日午後の衆院本会議で、自民、公明の与党両党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。憲法の規定により、予算案の年度内成立が確実となった。立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党などの野党各党は反対した。23年度予算案の一般会計総額は114兆3812億円で過去最大。物価高への機動的な対応や子育て支援の強化、中小企業の賃上げ促進など、公明党の主張が随所に反映されている。採決に先立ち、公明党の鰐淵洋子氏が賛成討論に立った。また、同日午前に行われた衆院予算委員会の締めくくり質疑で庄子賢一氏が質問したほか、中野洋昌氏が賛成討論を行った。
23年度予算案は、物価高への追加策などを講じる備えとして、新型コロナ・物価高対策予備費に4兆円を積み増しする。22年度第2次補正予算で新設した「ウクライナ情勢経済緊急対応予備費」にも1兆円を確保した。
公明党の強い主張を受け、出産時に支給する出産育児一時金は現行の42万円から50万円に増額。過去最高の引き上げ幅とした。
また、妊娠・出産時の計10万円相当の給付と妊娠期からの伴走型相談支援について、今年10月以降も継続実施する費用を計上。子ども・子育て支援を強化するため今年4月に創設する「こども家庭庁」の関連経費も盛り込んだ。
中小企業の賃上げ実現に向けては、価格転嫁しやすい環境を整備するため、取引の実態を調査する「下請Gメン」の体制を強化。脱炭素化を促進するため「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」を発行し、民間のGX投資を支援する仕組みも創設する。
このほか、激甚化する自然災害への対応として、流域治水の取り組みや新技術を活用したインフラ老朽化対策などを加速させる。
鰐淵氏が賛成討論
賛成討論に立った鰐淵氏は、直面する物価高やコロナ禍、ウクライナ情勢の変化による不測の事態に万全を期すため、同予算案で予備費を確保している点を評価。政府に対し「物価高など国民生活への影響を注視し、必要な追加策をちゅうちょなく実行してもらいたい」と訴えた。
衆院予算委で庄子、中野氏
光熱費、追加支援せよ 介護施設の経営悪化に手当て
一方、同日午前の衆院予算委員会の締めくくり質疑で庄子氏は、光熱費の高騰で経営が悪化する介護事業者が増えていると指摘し、「しかるべき予算を早急に手当てし、介護施設などへの支援を力強くお願いしたい」と訴えた。
庄子氏は、22年の介護事業者の倒産が過去最多の143件に上ったとの民間調査の中で、国の支援の効果が薄らいでいるとの分析を紹介し、追加の支援を求めた。
岸田文雄首相は、電気、ガス、燃油代の負担軽減策などを盛り込んだ22年度第2次補正予算の執行を加速するとともに、「事業者への影響を引き続き注視し、機動的な対応を考えていく」と答えた。
賛成討論で中野氏は、23年度予算案に関して「わが国が抱える重要課題の解決に真正面から取り組む予算だ」として、速やかな成立を求めた。