公明党トップ / ニュース / p281034

ニュース

2023年2月20日

防衛力強化と財源確保(Q&A)

日本を取り巻く安保環境が急速に厳しさを増す中、政府は昨年12月、日本の安全保障の最上位政策文書である「国家安全保障戦略」など安保関連3文書を改定し、防衛力の抜本的強化を図る方針を示しました。防衛力強化の意義や、防衛費増額に向けた財源確保について、公明党の考え方をQ&A形式で紹介します。

Q 防衛費の増額は、いま優先すべきことなの?
A 厳しい安保環境への備えとして、国民の命と平和な暮らしを守るために、防衛力の強化は必要です。

いま、日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しています。北朝鮮は、かつてない勢いで、多様な弾道ミサイルを発射し、その技術は向上していると言わざるを得ません。ロシアは、国連安保理常任理事国でありながら、国際法を無視してウクライナを侵略し、これまでの国際秩序が危機に瀕しています。中国は、その軍事力を年々増強し、東シナ海や南シナ海など海洋進出の動きも活発です。

こうした周辺国の動向に対し、国民の命と平和な暮らしを守るために、防衛力を強化し、抑止力を高めることが必要です。一方で、防衛費増額のための財源確保に当たっては、物価高などの現状を考慮し、ほとんどの国民の負担が増えないようにします。

Q 「増税」と報道されているよ。本当は負担が増えるのでは?
A ムダの削減などを徹底したうえで、それでも足りない部分は、法人税、所得税、たばこ税で賄うこととしました。しかし、ほとんどの国民の負担は増えません。

防衛力強化の財源確保のために、まず、ムダの削減などを徹底した上で、残りを法人税、所得税、たばこ税の増税で捻出することとしました。

法人税については、本来の税額に4~4.5%を上乗せしますが、公明党が中小企業を守るために、当初、170万円としていた法人税額からの控除額を500万円まで引き上げたことにより、課税対象は全法人の6%弱となり、大半の中小企業の負担は増えません。

所得税については、本来の税額に1%の上乗せを行う一方で、東日本大震災の復興予算に充てている復興特別所得税の税率を1%引き下げ、当面、国民負担が増えないようにします。また、復興財源の総額を確保するために、2037年までとなっている復興特別所得税の課税期間を延長します。

なお、現在の復興特別所得税は、その大半が復興債の償還に充てられており、1%引き下げられても、復興事業に影響はありません。税制改正大綱にも、公明党の主張により、東日本大震災の復旧・復興に要する財源は「責任を持って確実に確保する」旨が記載されたところであり、今後も被災地の復興に全力で取り組んでいきます。

たばこ税については、1本換算で3円相当の引き上げを段階的に実施します。

Q 増税する前に、もっとムダを削減できないの?
A ムダの削減や余った予算の活用により、3兆円程度を確保し、国民の負担を抑制しました。

現在の厳しい安全保障環境に十分に対応するため、27年度以降は単年度で、おおむね9兆円が必要になり、22年度よりも4兆円程度増やさなければなりません。

この毎年度4兆円の確保に向けて公明党は、国民の負担を抑えるため、まずは、ムダの削減や使われなかった予算の活用を優先すべきと主張。政府も、歳出改革の徹底、決算剰余金の活用、特別会計からの繰り入れなどで3兆円程度を確保し、残り1兆円強は税制措置を検討することとなりました。

1兆円強の確保について公明党は、防衛力の整備は一度きりではないため、安定的な財源を確保することが重要で、安易に国債に依存すべきではないと主張しました。国債で賄えばいいとの意見もありますが、それでは将来世代にツケを回すことになりかねませんし、防衛費の膨張に歯止めがかからなくなるとの戦前の反省もあります。

Q 増税はいつから実施するの?
A 国民の理解なくして、増税を進めることはできません。実施時期を含め、今後、国会で丁寧に検討していきます。

増税の実施時期については、税制改正大綱で「24年以降の適切な時期」と記載されており、本年から税負担が増えることはありません。

今後、国会審議などを通じて丁寧に説明をしながら、実施時期を含め、国民の理解が得られるよう、丁寧に検討していきます。

Q 防衛費の増額分は何に使われるの?
A 国民の命と平和な暮らしを守るため、ミサイル攻撃への対処・抑止や、自衛隊施設の老朽化対策、弾薬等の確保、サイバー攻撃への対応などに使われます。

公明党は、防衛費の増額ありきではなく、いま何が必要なのか、きちんと積み上げた上で、必要な防衛力確保に取り組むべきと主張。新たに決定した「防衛力整備計画」には、その内訳が明記されています。

具体的には、反撃能力の保有を含むミサイル攻撃への対処・抑止に約8兆円。防衛力の基盤である自衛隊施設の老朽化対策、弾薬・誘導弾の確保、航空機や艦船などの維持整備などには、約15兆円かかります。さらに、宇宙・サイバーなどの領域横断対応(約8兆円)、基地対策(約2.6兆円)、教育訓練費・燃料費等(約4兆円)などを加えると、23~27年度までの5年間で約43兆円が必要と分かりました。

なお、反撃能力については、北朝鮮のミサイル技術の向上などに対応するためのものであり、既存のミサイル防衛で防ぎつつ、相手からのさらなるミサイル攻撃を防ぐ抑止力として保有するものです。また、日本に対する武力攻撃が開始された時、自衛権行使の3要件に基づき、やむを得ない必要最小限度の自衛の措置として実施されるもので、どこまでも専守防衛です。国際法で禁止する先制攻撃には当たりません。

Q 防衛費増額はGDP比2%ありきでは? 議論が拙速では?
A 数字ありきではなく、防衛力強化に何が必要か、中身を精査したうえで、必要な金額を見積もりました。

厳しい安全保障環境にどう備えるかというのが、今回の議論の出発点です。当初、必要な予算確保に48兆円かかるとの報道もありました。

また、自民党は昨年の参院選で、GDP(国内総生産)比2%以上を念頭に置くとの公約を掲げており、数字ありきとの批判もありますが、最後まで公明党は、予算の積み上げにこだわり、具体的な内容を精査した上で、総額43兆円が必要との結論に至りました。

ただ、年末の短い時間での決定には、議論が拙速との指摘もあり、こうした国民の声を真摯に受け止め、今後、防衛力強化の内容について、国会などを通じて説明を尽くし、理解を得る努力を続けます。また、毎年度の決算で、予算がどのように使われたか厳しくチェックしていきます。

Q 防衛費増額よりも外交努力こそ、抑止力につながるのでは?
A 外交努力は当然です。戦略文書にも明記させました。公明党は、率先して対話による平和外交を進めています。

国際社会の平和と安定のためには、何よりも外交の役割が重要です。

公明党は、昨年末に山口那津男代表が韓国を訪問し、尹錫悦大統領と会談。中国共産党の中央対外連絡部の劉建超部長ともオンラインで会談を行うなど、対話による平和外交を通じて関係改善に取り組んでいます。

「国家安全保障戦略」の改定に向けては、当初、防衛力の整備強化を中心とした議論が先行していましたが、公明党がそれに歯止めをかけ、「外交力の強化を第一の柱に据えるべきだ」と強く主張。その結果、日本の安全保障の最上位政策文書となる「国家安全保障戦略」の中に、国際社会の平和と安定、脅威の出現を未然に防ぐための外交力が第一に重要である旨の文章が明記されました。

バランスの取れた安全保障政策を推進するため、これからも公明党は政党間交流などを通じ、地域の平和と安定に積極的な貢献を果たします。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

定期購読はこちらから

ソーシャルメディア