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【主張】有機フッ素化合物 健康への影響など調査進めよ
環境省と厚生労働省は先月、有害性が指摘される有機フッ素化合物「PFAS」について、水質基準などを検討する専門家会議を初めて開催した。内閣府の食品安全委員会専門調査会も健康への影響について調査する方針を決めた。
PFASは米軍基地周辺など全国各地で検出され問題となっている。政府は国内外の科学的な知見を集め、対応策を検討してもらいたい。
PFASとは数千種類におよぶ有機フッ素化合物の総称で、このうち各地で検出されているのはPFOSとPFOAだ。
いずれも消火剤やフライパンのコーティングなどに広く使用されてきたが、発がん性などが指摘され国際条約で製造と使用が原則禁止となった。日本では2020年に水質基準の暫定目標値を定め、21年までに製造・使用を原則禁止した。
ただ、環境省が21年度に行った調査では、13都府県81地点の河川や地下水などで暫定目標値を超えた。最近も自治体などの調査で暫定目標値を超えるケースが相次いでいる。
原因としては、過去に使用された消火剤の成分などが土壌や井戸水に残留しているとの見方もあるが、明確には分かっていない。
さらに懸念されるのは、健康への影響だ。
どれだけの量のPFOSやPFOAを体内に取り込むと健康被害が生じるのかについては、国際的にも研究段階で結論が出ていないという。このため日本も暫定目標値にとどめている。
しかし、内閣府の調査会では「健康被害は明確に確認されていないが、今後、発生が否定できない」との指摘もあった。政府は水質基準や健康への影響などについて海外の研究成果の収集・分析を進めるとともに、国民に対する情報発信に努めるべきである。
有機フッ素化合物について公明党は、沖縄県で検出されたことを受けて19年6月に国会で水質基準の設定などを主張。その後の暫定目標値につながった。今後も国民の安全・安心のために取り組みを進める。